リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

テン年代ベストテンに参加するよ

映画テン年代ベストテン - 男の魂に火をつけろ! ~はてブロ地獄変~

 

2010年から2019年。人生で最も楽しかった大学生活から、就活浪人を経て、友達も話相手もいない片隅の田舎で死んだような社会人生活を送っている現在までの10年間のベストテンである。

思い返せばこのブログを開設したのが2010年11月のことであって、年々更新頻度は減ってきているものの、細々と続けてきた。その間に映画の趣味も微妙に変化し、以前ならば一瞥して吐き捨てていたような作品に目を向けるようになり、しかし反対に、以前ならば喜んでいたであろう作品に興奮しなくなったりもしている。

さて一部では社会人になると趣味に費やす時間が減るという人もいるようだが、僕の場合一人でいる時間があまりにも長くなったため、鑑賞数に関してはむしろ増えたくらいである。もちろん、生活圏が文化貧困地帯であるため大した本数は見れていないし取りこぼしも多いのだけれど、それでもやはり10本は難しい。ただどうせ何を選んでも心残りが生まれてしまうので、勢いで決めてしまったほうが楽なのであろう。というわけで早速10本に移りたいのだが、最後に一つ。桐島、部活やめるってよは鑑賞直後会話不可能になるほど泣き腫らした作品であり、当然、ベストテンに入れるべきである。だがこの作品の場合、個人的な思い入れが強すぎてほかの作品と並べたときにどうも浮いてしまうように思えたため、今回はあえて外した。

 

 

テン年代ベストテン>※順不同

アウトレイジ ビヨンド(2012年 北野武監督)

かぐや姫の物語(2013年 高畑勲監督)

Seventh Code(2014年 黒沢清監督)

ハッピーアワー(2015年 濱口竜介監督)

風に濡れた女(2016年 塩田明彦監督)

ソーシャル・ネットワーク(2010年 デヴィッド・フィンチャー監督)

プロメテウス (2012年 リドリー・スコット監督)

女っ気なし (2013年 ギヨーム・ブラック監督)

ラン・オールナイト(2015年 ジャウム・コレット=セラ監督)

キャロル (2016年 トッド・ヘインズ監督) 

 

次に、最後まで迷った作品について以下に書いておく

『恐怖』『哀しき獣』『エクスペンダブルズ2』『ムーンライズ・キングダム』『死霊館』『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』『ちはやふる 上の句』『ジェーン・ドウの解剖』『リズと青い鳥』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『きみの鳥はうたえる

これらをあれだこれだと入れ替えている中で、なんとなく自分の中でしっくりくる10本を選んだ。

スピルバーグやスコセッシを入れなかったように、北野武黒沢清といったもともと大好きな監督の作品はあえて外そうかとも思ったのだけれど、アウトレイジ3部作は初めて劇場で見た北野武映画だったし、テン年代は女優の映画という印象の強かった黒沢清については前田敦子という女優の存在込みで入れておこうと思った。

ほとんどスクリューボールコメディな『風に濡れた女』と、画面の力で圧倒してくる『かぐや姫の物語』は常に予想を超えてくるところが素晴らしい。2本とも全く違う方法で女性の闘争を描いているともいえる。

濱口竜介は2本しか見ていないもののどちらも傑作で、しかしその面白さの正体が一体なんなのか、見ても書いてもつかみきれないように思うところが特に好き。

ソーシャル・ネットワーク』ほどテン年代にふさわしい作品もないように思うが、だからといってその評価は時代に左右されるものではない。内面を避け、驚異的な速度で流れていく出来事がいつのまにか映画的物語を生んでいるように思うからこそ本作は傑作なのである。

物語もビジュアルも間違いなくリドリー・スコット節な『プロメテウス』は、しかしなにより、脚本の穴などあえて無視して荒唐無稽と悪趣味に突っ走る清々しさこそ素晴らしい。

ギヨーム・ブラックなどの、公開館数も少なければレンタルもないような作品を見る機会は限られており、実に歯がゆい思いをする。簡素でありながら豊かな時間の流れる『女っ気なし』は、地方民を嫉妬させるには十分すぎる傑作だ。

シンプルな物語を止まらないアクションの中で描き切る『ラン・オールナイト』は、夜の風景やキャラクターの造形、時にトリッキーでありつつも的確な画面など、忘れ難い魅力を持った大変面白い活劇である。

『キャロル』のような作品をこんなに好きになるとは、見る前までは全く予想もしていなかった。素晴らしい演出の、スリリングな脚本の、大変優れた演技の、とても美しい作品であって、共感ではなくほとんど憧れといってもいい感情を抱いている。あまりに感化されしまったためはじめて写真集(ソール・ライターの)を買ってしまったくらいだ。

 

 

以上、テン年代ベストテンでした。

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