リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

アニメ映画ベストテンに参加するよ

2014-10-31
というわけで、毎年恒例年間ベスト前のお祭り。今年はアニメ映画ベストテン。僕はアニメに特別強い思い入れのある作品があまりないので、色々悩みつつ、今回はこの10本にしてみました。



1位『時をかける少女
(2006年 細田守)

2位『魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』
(2013年 新房昭之)

3位『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
(1993年 ヘンリー・セリック)

4位『トイ・ストーリー3』
(2010年 リー・アンクリッチ)

5位『クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』
(1996年 本郷みつる)

6位『ドラえもん のび太とブリキの迷宮』
(1993年 芝山努)

7位『かぐや姫の物語
(2013年 高畑勲)

8位『スキャナー・ダークリー
(2006年 リチャード・リンクレイター)

9位『話の話』
(1979年 ユーリ・ノルシュテイン)

10位『ミート・ザ・フィーブル 怒りのヒポポタマス』
(1989年 ピーター・ジャクソン)



1位は『時をかける少女』。これを始めて見たのは初回のテレビ放映時だから、ちょうど高校2年生。今回このブログを書く前に改めて見返してみたのが、やはり、アニメならではの手法で描かれた素晴らしい青春映画だった。宙に浮いたボール。友情。進路。定まらない未来。それが戻した時間と戻せない想いを経て、少女は不確かな未来に向かって「前見て走れ!」という言葉の通り確かな気持でカメラすら追い越し走っていく。受け取られるボールと広がる青空。登場人物が本当に生きていると思うような、ふと彼らのその後を想像してしまうような、そんな魅力の詰まったこの作品を、僕は今回1位に選ぶ。


2位には昨年公開された『魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』を。ただ実際のところ好きではない部分もいくつかあり、この映画を好きな気持は、僕の中の妄想によって培われたものも多くなってきている気もするが、愛という狂気が世界を埋め尽くした瞬間から、ほむらとまどかが向こう側へ手を繋いで走り去っていくという、ついに叶わなかった願いを見届けるラストにとにかく揺さぶられた。こういう話好きなんですよ。関係を持つこともないまま勝手さゆえに相手から断絶されて孤独になる恋愛っていうのが。


おそらく『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』は小学生の頃最も多く回数見返した作品だと思うし、それこそクリスマスにグッズを色々買ったりもしていた記憶がある。そんなわけでヘンリー・セリック監督作の中でこれがベストワークとは思わないけど、思い入れという点なら一番なんです。ちなみに、確か中学生の頃だったと思うけどいつの間にか同級生らもこの作品のグッズを持っていたりして、「映画見たの?」と聞くと「いや知らない」と言われたときは怒りを覚えましたね。


ピクサーからは「何を選ぶか」そして「何位に置くか」で色々悩んだのだけど、昨年のSF映画ベストテンで『WALL-E』を選んでいるので、今回は『トイ・ストーリー3』にした。1作目公開時僕は小学校入学前で、3公開時にはちょうど大学生だったというシンクロも感慨深い。ちなみに先日4作目の制作が発表されたが、ウッディとアンディが別れを受け止めたのに対し、ピクサー自体が短編含め『トイ・ストーリー』から離れられない現状はどうかと思う。


クレヨンしんちゃん』ならオトナ帝国だろうとか、湯浅政明繋がりなら『マインド・ゲーム』だろうという話も分かる。ただ終盤にあるヘンダーランド城での追いかけっこがあまりに楽しすぎるので、今回はこの作品を5位にします。ちなみに僕は小学生の頃「クレヨンしんちゃんは下品だから見てはいけない」と父親に言われていたので、映画館へ観に行ったことはなく、テレビ放映時にこっそり録画して見ていたのも良い思い出。


ドラえもん のび太とブリキの迷宮』は正直よく覚えていない。ただ強烈に覚えている場面が2つだけあって、それは廃棄され海の藻屑となったドラえもんの姿と、そして「いーとーまきまきいーとーまきまき」とつぶやきながら壊れていく敵の姿。いったい何歳の時に見たかすら覚えていないのに場面だけ覚えているんだから、たぶん自分にとって強烈な作品だったんだろう。というわけで6位。


昨年のベストでは『風立ちぬ』を上に置いたが、絵が動くというだけで涙が出てくるという事を体験させてくれた『かぐや姫の物語』は、時間を経るごとに好きになってきた作品で、両者を比べて今見返したいのは『かぐや姫の物語』の方であり、ランキング唯一のジブリ作品を7位に入れておきたい。人の顔がとにかく豊かなのも良かったなぁ。


スクランブルスーツ、「物質D」による幻覚、罪を数え続ける生物・・・現実と妄想がどんどん混同し自己が消え去っていく物語を、ロトスコープを用いた奇妙な映像によって迫真のものとした『スキャナー・ダークリー』は、『裸のランチ』を思い出させる感じで、そういう感覚って単純に好き。


9位『話の話』はロシアの切り絵アニメーション作家、ユーリ・ノルシュテイン監督の作品。彼の作品を数本見ていて感じたのは、どれも寒く、暗く、雨や雪や霧で視界が悪いということ。しかし内容自体は可愛らしいものが多く、どうもこの寒さは生理的な感覚として染みついているようで、それが心地よい。ツンデレが楽しめる『あおさぎと鶴』も好きだけど、今回は雪が印象に残るこちらを選ぶ。


10位の『ミート・ザ・フィーブル 怒りのヒポポタマス』は昨年に続いてピーター・ジャクソンをねじ込んでやろうという意思によって選んだ、悪趣味極まりない人形劇。もちろん、ただ無理矢理というわけじゃなく、無茶苦茶面白い作品なんですよ。スピルバーグと共同で制作された『タンタンの冒険/ユニコーン号の冒険』とも実は迷ったけど、タンタンは『ホビット』3部作を経て公開される次回作にこそ期待したいということで、今回はこっち。



以上が僕の選ぶアニメ映画ベストテンとその選定理由です。ちなみに次点はファンタスティック・プラネット』『サウスパーク/無修正映画版』『蒸気船ウィリー』『機動警察パトレイバー the Movie』『名探偵コナンイカー街の亡霊』『もののけ姫』『風立ちぬ』『人狼』『PERFECT BLUE』『アリス』(シュヴァンクマイエル)あたり。特にコナンは昨年公開の作品まですべて劇場で見ていたという思い入れもあるので、入れるかかなり迷った。
しかし毎度のごとく説明が無駄に長くて自分でもうんざりしますね。まぁあとは結果を楽しみに待ちたいと思います。

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