リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

音楽映画ベストテンに参加するよ

2015-10-31
というわけで、毎年恒例になりましたベストテン企画に参加したいと思います。今年は音楽映画。毎回何を入れるか悩むわけですが、いやぁ、今回は特に悩みましたね。まずはさっそく、選んだ10本を発表していきましょう。ちなみに、今回は順不同です。


『バンド・ワゴン』(1953年 ヴィンセント・ミネリ監督)
ピアニストを撃て(1963年 フランソワ・トリュフォー監督)
ああ爆弾(1964年 岡本喜八監督)
東京流れ者(1966年 鈴木清順監督)
ファントム・オブ・パラダイス(1974年 ブライアン・デ・パルマ監督)
ロッキー・ホラー・ショー(1975年 ジム・シャーマン監督)
『マスク』(1994年 チャック・ラッセル監督)
リンダ リンダ リンダ(2005年 山下敦弘監督)
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(2007年 ティム・バートン監督)
かぐや姫の物語(2012年 高畑勲監督)



今回は10本に厳選することよりも、10本まで増やす方が難しかったため、どうやら僕は音楽を扱った映画というものを見ていなかったということになる。まぁ別に、10本でなければいけないという決まりもないのだが、やはりベストテン企画なので、10本選びたくなってしまうものだ。
さて、そんな僕からすれば音楽映画というからにはやはりミュージカルを思い浮かべてしまうものであって、その中でも傑作中の傑作である『バンド・ワゴン』をひとまず選ぶ。この作品の素晴らしさとはそれこそ言葉では語りつくせないものであり、ダンスを踊るという行為がすなわち恋愛として表現される夜の公園に鈴木清順かというほどの色の氾濫。扉。もちろん歌も素晴らしい。他にミュージカルはああ爆弾』『ファントム・オブ・パラダイス』『ロッキー・ホラー・ショー』『スウィーニー・トッドが当てはまり、それぞれ古典芸能、ロック、怪奇、ゴシックと趣は異なっていて面白い作品ばかりだ。
それではミュージカル以外にはどんな音楽映画があるかと考えたところ、例えば東京流れ者は間違いなく鈴木清順らしいとしか言いようのない独特な作品でありつつも、歌謡映画のジャンルに収まっているため音楽映画だろう。ピアニストを撃てトリュフォーによる軽妙且つ悲劇的恋愛映画ではあるが、タイトルの通りピアノというものが重要な要素を持っている。リンダ リンダ リンダはガールズバンドの面々を見ているうちに、ほんとうになんてことない今にのみ宿る愛おしい瞬間に耐え切れなくなってしまいながら笑っちゃうような青春映画だ。かぐや姫の物語で残酷さや美しさを表現していたのは物語や画面だけではなく、わらべ歌にもそれは共通している。これらの作品は音楽を主にして描いたわけではないが、音楽が重要な要素を担っているのも確かなので、音楽映画と呼んで差支えないであろう。
最後に、一体なぜ『マスク』なのかということについて書いておく。いや他にも『オズの魔法使』だとか、『センチメンタル・アドベンチャー』だとか、『嘆きの天使』に『トウキョウソナタ』等々候補は色々あった。しかしどうせこういうベストテンなのだから思い出深い作品の一つも入れてみたくなるのが人情というもので、小学校低学年の頃に散々見ていた『マスク』をこっそりランクインさせてみる。『マスク』にはミュージカルシーンも多いし問題ないとは思うが、特に推したいのは吹き替え版であって、山寺宏一の天才的吹き替え芸はそのテンポも相まって、そこにはもはや新しいリズム、つまり音楽が生まれているような気さえするのでやはり問題ないだろうと理屈付けて、ここは締めたいと思う。