リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

最近見た映画の感想。

『フランケンウィニー

スパーキーがかわうぃぃ〜!。とまあそれは置いといて、ティム・バートンの新作です。とはいえ完全な新作ではなくセルフリメイクですね。短編だったものを膨らませていました。基本的には同じですが、中盤にオリジナルな展開を入れてますね。
本作はバートンの好きなものを詰め込んだ映画と言えます。古典ホラーや日本の特撮映画等、随所にオマージュが散りばめられていました。もちろん骨格はタイトルにもある通りフランケンシュタインの怪物ですね。御存じ死んでいるものに命を吹き込むというものですが、これが本作をストップモーションアニメで撮リ直した理由でもあると思います。というのも、この手法も命のない人形を、さも生きているかのように見せるものですからね。
さて、本作はバートンらしいマイノリティへの優しい目線と、テクノロジーへの接し方についての物語でした。これが安易な批判方向や説教に流れないのは良いと思います。ただ文句があるとすれば終盤ですかねやはり。まず科学展示会の話が回収されなかったのがちょっと残念でした。最後に子供たちがどのような発表をしたか入れれば、次に書く問題ももしかしたら解消できたかもしれないのに。
さて、その問題とは、ラストでスパーキーが生きたままということです。これに関しては批判も多いと思います。僕も「これでいいのかな・・・?」と思いました。ただこれをテクノロジーの扱い方という見方で考えると別にいいのかなあと思えてきます。人間は自分の理解できない事柄には批判的な態度をとる、愛を持ってテクノロジーを扱うのが大事、というような話が劇中に出てきますが、まぁそれを考えると、ヴィクターがスパーキーにしたことは正しいと言えるんじゃね(投げやり)。で、最後はあの少年たちがまず反省して、今回のことを生かした科学展示会の発表をすればよかったのでは。そしてヴィクターと友達になるとか。そうなるとテーマも分かりやすくなると思うし、ヴィクターは困難に立ち向かって仲間を得た、ということで成長したとなるのではないかなあ。ダメかなぁ。



レ・ミゼラブル

ビクトル・ユーゴーの超有名小説を映画化・・・というかそれの舞台をそのまま映画に持ってきたという感じでした。世評は割れているものの、割と賛が多いみたいですね。えー、僕にはあまり面白くなかったです
まず本作はセリフがほとんどなく全編歌です。なのでこれは普通のミュージカル映画とは少し違います。それでこれがねぁ、途中で飽き飽きしてしまったんですね。緩急がないからつらいんですね。強調したいころで歌、というのが普通だと思うのですが、これはずっとそれですからね。しかも歌っているときは常にバストアップとか顔のクローズアップなんですよ。意図はわかるし、役者の演技のあいまって効果的と言えなくはないですが、もうちょっとバリエーション豊かな映像が見たかったです。
またストーリーの進め方も気になりました。まず時間経過、場面転換が急で、話が呑み込みづらいし、感情を溜めるなんてこともできないし、そもそもありえなくない?という場面までちらほら(ジャンバルジャンが自分の正体を裁判で明かす場面から病院の転換など)。それにそもそもほぼ歌いっぱなしなので登場人物の感情などはすべてわかりやすく説明されるのですが、それって映画の表現としてどうなの?と思ったりもします。いや物語の説得力が薄い分(人間同士の関係性が急に進む)、歌で強引に進めたのかもしれないけど。
あとムカついたのはコゼットと結婚する男。あいつ革命志士として最初は盛り上がってたのに途中から女のことしか考えてないのな!で、戦いが終わって助かったら敵だった富裕層の叔父の所に行って金持ちになって可愛い子ちゃんと結婚ですか!お前の仲間を思う気持ちは嘘だったのか!いや、そもそも最初から女のことしか頭になったか。ばーか。
トム・フーパー監督の前作『英国王のスピーチ』でもあった、カメラのどこに人物を置くか、人物がどのような空間にいるか、というようなことで状況や心情を説明する、というのは良かったと思います。でもまあホントそのくらいですね。
というわけで、展開は急で、なのに同じような画面だらけでダラダラしてるなあと思ってしまう映画でした。正直歌とか早く終わらねえかなあとすら思いましたね。僕にとっては良い映画とは言いがたい作品でしたよ。
しかし、それでも本作が何か惹きつけるものがあるのは、これはもう役者の力でしょう。彼らの頑張りがこの映画を何か素晴らしいものに見せかけている、と思いました。好きな人ごめんね。DVDとかで好きなシーンだけ見返すと楽しいかも。

レ・ミゼラブル~サウンドトラック

レ・ミゼラブル~サウンドトラック