リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

最近見た新作の感想その1

今年公開された作品のうち、自宅で鑑賞した作品の感想です。基本的にネタバレ。

オズ はじまりの戦い
どうしたんだサム・ライミ。オリジナルの『オズの魔法使』がどうだという話を抜きにしても、普通につまらないリガだった。物語もビジュアルも全く魅力的ではなく、よかったのは陶器の少女くらい。
まず敵の魔女の扱いに納得がいかない。単にかわいそうなだけじゃないか。あれを敵と言われても困る。しかもそれに対してオズ(ジェームズ・フランコ)が言うセリフも酷い。まるでヤリチンが捨てた女に対し開き直って吐き捨てる言葉みたいだ。そんなんだから元から偉大さを持っていたとかそんなこと後に言われても全然納得できない。大体、その「偉大さ」を感じさせる描写も薄い。そこは必要だろ。あと整合性の問題は出てしまうが、結局あの世界に残り続けるというのはどうなんだ?
ファンタジー世界の描写もただのっぺりとCGが貼られているだけで面白味がない。技術は進歩しているのにイマジネーションは退化していると言わざるを得ない出来で、全くファンタジーのマジックがかかっていない。魔女同士の戦いもちょっとダサすぎやしないか。
映画史を振り返るような展開があるところだけは唯一面白かったかもしれない。オズが憧れる人物の中にエジソンが入っているものそのためだろう。また奇術師という設定はジュルジュ・メリエスを想起させる。あとはまぁ、ミラ・クニスがグリーンゴブリンになったり、レイチェル・ワイズが『スペル』のババアみたくなったのも楽しかったといえば楽しかったかなぁ。なんにせよ、かなりガッカリな出来ではあった。3D効果は結構ありそうだったので、映画館だと印象はまた少し違うのかもしれない。



ジャッジ・ドレッド
面白かった!閉鎖されたビルの中でのギャングとの戦いという展開は『ザ・レイド』でも見られたけど、こっちは頭ぐちゃーだのでバイオレンス度が高いのが良い。中途半端にドラマを入れず、ただただ犯罪者は容赦なくぶち殺すんだという姿勢にも好感が持てる。それを体現する「I am the low」という言葉の素晴らしさよ。人生で一度は言ってみたいものだ。
吸うと世界がスローになる麻薬・スローモーというものが本作には出てくるが、この表現が面白い。この麻薬を吸うと世界はキラキラ輝き、物事は美しくゆっくりと動くのだ。ただ、そんな状態でビルから突き落されたりするので大変である。ジョジョの奇妙な冒険5部に出てくる「感覚が暴走するため全てがスローに見える」という能力を思い出したりもした。ただ何よりスローモーが面白いのは、スローという技術を使うということに「カッコいい」以外の意味も持たせたところだろう。使用者には普段映像を通してしか見られないあの世界が見えているのだ。そりゃあ、やってみたくもなるわな。
ヘルメットの他には低くしゃがれた声だけが特徴のジャッジには人間性というものがない。顔を隠し、ひたすらに法の裁きを加えるこの男は「強さ」そのもので、そんなジャッジがひたすらに敵をブチ殺していくだけでも面白いは面白いのだが、さすがにそれでは長尺の映画にならないので、半人前の女ジャッジ(オリヴィア・サールビー)を入れることで展開を生じさせ、ビジュアル的にもおいしくさせていた。適度なエロもあるしね。続編も作られるなら非常に楽しみである。評判は悪いが、スタローン版も見ておこう。



プラチナデータ
皆さん、この映画の予告を覚えているだろうか。そう、あの、衝撃の、二宮君の「プラチナータ」(ささやき声)である。あの予告は笑うなという方が無理なつくりで、本編はもう、見る前から「これで真面目にやれんのか?」と完全にバカにしていた。
結論から言うと、面白かったんですよ。二宮クンが囁き声で「プラチナデータ」って言って「あのシーンキター!!!」ってなる開始5分くらいまではね。後の約2時間はクソつまんなかったんです。
過度な説明セリフ、その割に薄い人物描写、全く迫力も必然性も無いカーチェイス、無駄に長くダラダラとした展開、鳴り続ける大仰な音楽、ダサイ横文字字幕の多用、意味不明な真犯人と真相・・・。まさにダメな要素を詰め込んだような映画。ただつまらないというだけで「ムカつく」といったマイナスの感情を喚起させることもないので、まぁホントに僕にとっては何の楽しみのない映画でした。演技は悪くなかったかもしれません。