年の瀬でございます。というわけで今年もやります。2014年に見た新作映画ベストテンです。ちなみに今年は年内に続編の公開される作品が何本かあったため、続編ものは一本に纏めることにしました。というわけで、今年は62本からの選定になります。それではさっそく発表していきましょう。
次点 Seventh Code
黒沢清は常にベストなんですけど、ミュージックビデオとして制作された経緯を考慮して次点としました。『勝手にしやがれ!』シリーズのように楽しく、映画らしい興奮の堪能できる素晴らしい作品です。感想
10位 オンリー・ゴッド
あのいけ好かない『ドライヴ』とは違い、ヘンテコ暴力不思議ちゃん映画な本作は大変楽しく見られました。わけわからないとも言われますが、わからないなりにわかる映画だとも思いますよ。感想
9位 フライト・ゲーム
プロフェッショナルな登場人物たちからイチイチの道具まで全てが映画を盛り上げ流れを作るために奉仕していて素晴らしい。何度も手渡される使い方が見事。映画には整合性よりも大切なものがあると教えてくれる作品だと思います。感想
8位 エレニの帰郷
一つ一つのショット、シーンがとにかく印象に残っている作品です。特に時間を超えていく長回しは凄いですね。アンゲロプロス作品もようやくレンタル開始となったので、これから作品を追っかけていくのが楽しみです。感想
7位 スノーピアサー
寓意やテーマは置いといて、バランスを逸脱して混沌とした何かが迫ってくる瞬間がいくつかあったので良かったと思います。聖火ランナーや魚捌き隊長。そしてハッピーニューイヤー!<感想>
6位 ゴーン・ガール
重いとか怖いとかよりもまずは楽しい映画だと思います。フィンチャーの題材捌き力たるや。ところで、インタビューでフィンチャーは「ものすごいエフェクトを使っているよ」と言っていたけど、一体どのへんなんだろう。なんか細かく使っていそうだけれども。<感想>
5位 キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
銃撃戦、カーチェイス、ナイフに盾に格闘。今年最も燃えたアクションシーンの見られた作品でした。ヘンリー・ジャックマンによるサウンドもいいですね。ハードさと荒唐無稽の融合も最良のバランス。元ネタが近いという事なんでしょうが大好きなメタルギアソリッドのようでもあり、こういう作品が見たかったんだよ!という映画でした。<感想>
4位 戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 劇場版・序章/史上最恐の劇場版
今年一番の思い出はこの作品の舞台挨拶に行ったことなんですけど(舞台挨拶自体初だったし)、そういった諸々の思い入れを抜きにしても最後までベスト3に入れるか迷ったくらい、とにかく面白いシリーズだと思います。すでに次回作も完成に近づいているようで、次はどんな驚きを提供してくれるのか本当に楽しみです。<感想>
3位 それでも夜は明ける
アカデミー賞を受賞した、黒人奴隷が題材の感動と衝撃の物語と聞いて想像していた作風とは全く違う、非常に変わった演出の数々に驚かされました。また美しく凝られた画面設計の中行われる拷問は心底恐ろしく、まるで不条理な拷問を受け続けるホラー映画のようであると感じたほどです。ポール・ダノが憎々しく歌う歌もなんとも素晴らしい。ハッピーエンドでは済まされないことを突きつけるラストにも震えましたね。素晴らしい映画だと思います。<感想>
2位 ウルフ・オブ・ウォールストリート
『グッドフェローズ』を人生ベストの一本としている僕にとって、映画館でこのテンションのスコセッシ作品が見られたこと、そしてただ過去の栄光を焼き直しただけではなく、いくつものスコセッシ作品らしさを含みつつ更にまた違った方向で突き抜けた傑作であったという喜び。死ぬほど笑い、挑発的な態度に痺れ、涙が出るくらい嬉しくなった映画でした。スコセッシでもベスト5に入る傑作中の傑作だと僕は思います。<感想>
1位 ホビット 竜に奪われた王国/決戦のゆくえ
というわけで『思いがけない冒険』公開年のベスト記事でも書いたように、ホビット2本を2014年のベストとします。結局この冒険譚におけるワクワク感は今年他のどの映画でも味わうことができなかったし、スマウグは他のどの怪獣よりも好きだし、五軍の合戦における趣味の出し具合も好きだし、ビルボの他愛のない勇敢さ、そしてドワーフの勇姿には大いに泣かされました。ドワ泣き!確かにLotRと比べ不出来な部分は多いと思いますが、しかしそれでも好きなものは好きということなんですね。本当の旅の終わりはエクステンデッド・エディションが出てからになりますが、とりあえずはピーター・ジャクソンとスタッフ・キャスト一同に感謝したいと思います。ホビット3部作、大好きです。<感想><感想>
<まとめ>
さらばじゃ!わがしたしき忍びの者よ。というわけで以上が僕の2014年映画ベストテンでした。今年も良い作品は多かったのですが個人的に刺さる作品は例年と比較してかなり少なかったですね。まぁ、そういう年もあるってもんです。ベストテンに入れるか最後まで悩んだのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』くらいです。あのタイトルが出る瞬間のために2回劇場へ行きました。見れていない作品だと『物語る私たち』『ある優しき殺人者の記録』『イコライザー』『西遊記〜はじまりのはじまり〜』が気になります。
今春から社会人となり、映画を見る時間も減るのかななんて思っていたんですが案外大丈夫なもので、結局例年通りの本数となりました。ただ見る作品は割と厳選したので、せっかく映画館で見たのにつまらなかったという事は殆どなく、以下に今年見た作品すべてのランキングと簡単なコメントを載せますが、ワースト3のちょうど手前に当たる59位までは嫌いな作品はありません。
<2014年映画ランキング>
1 ホビット 竜に奪われた王国/決戦のゆくえ
2 ウルフ・オブ・ウォールストリート
3 それでも夜は明ける
4 戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 劇場版・序章/史上最恐の劇場版
5 キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
6 ゴーン・ガール
7 スノーピアサー
8 エレニの帰郷
9 フライト・ゲーム
10 オンリー・ゴッド
11 Seventh Code
12 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
13 グランド・ブタペスト・ホテル
14 たまこラブストーリー
15 プリズナーズ
16 WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜
17 ホドロフスキーのDUNE
18 ライズ・オブ・シードラゴン
19 学校の怪談 呪いの言霊
20 5つ数えれば君の夢
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はなんというかノリとセンスが最高の、楽しい映画でした。『グランド・ブダペスト・ホテル』は横縦奥に画面が広がる興奮も物語も素晴らしいのですが、途中で色使いがちょっと食傷気味になってしまいましたね。『たまこラブストーリー』は投げる→落とす→受け取るという動作で貫かれた素晴らしい映画。『プリズナーズ』終盤ライトの氾濫するカーチェイスは今年ベストシーンの一つ。『WOOD JOB!』は無理なく派手な見せ場があって、笑えて、物語はウェットになりすぎないしで、手堅く面白い映画だと思います。伊藤英明最高!『ホドロフスキーのDUNE』ホドロフスキーのおもしろおじさんっぷりとドキュメンタリーとは思えないほど物語性の高い『DUNE』制作秘話に驚かされました。『ライズ・オブ・シードラゴン』の過剰なアクションには初め戸惑ったものの、重力をもろともしないアクションからシードラゴンとの対決の辺りは素直に超面白かった。『学校の怪談4』から15年ぶりの新作である『学校の怪談 呪いの言霊』はさほど期待していなかったものの意外に良かったですね。まさしく拾い物。その『学校の怪談』と同じく東京女子流が主演の『5つ数えれば君の夢』は不思議な感覚の作品ですが、人物の置き方など、カメラというか画面の見せ方が非常に計算されていると感じました。
21 ドラッグ・ウォー 毒戦
22 新しき世界
23 ラッシュ/プライドと友情
24 友よ、さらばと言おう
25 アメリカン・ハッスル
26 アデル ブルーは熱い色
27 思い出のマーニ―
28 オール・ユー・ニード・イズ・キル
29 マイ・ブラザー 哀しみの銃弾
30 罪の手ざわり
『ドラッグ・ウォー 毒戦』はジョニー・トーとしては物足りない部分もあるけれど、ちゃんと驚きを提供してくれていました。『新しき世界』を見てやはり韓国映画は強いなと思いつつ、昨年の『悪いやつら』ほどにはノレなかったという感じ。『ラッシュ/プライドと友情』はレースシーンのカメラ、そして音が非常に印象的でした。『友よ、さらばと言おう』はトイレに立てこもる場面やビニールカーテンのかかる倉庫などが印象深いですね。簡潔でいい作品だと思います。『アメリカン・ハッスル』は何と言っても「毛」ですね。スタイルだけでなくテーマに関わる「毛」描写。『アデル ブルーは熱い色』はぶっちゃけエロいと聞いて見に行ったら確かにエロかったし、それは置いといてもいい映画でした。『思い出のマーニー』は後半の謎解き部分をもっとうまく処理してたら傑作になっていたかもしれない。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は前半のコメディっぷりにやられた。『マイ・ブラザー 哀しみの銃弾』の銃を突き付けられた兄が無言で車を走らせるシーンには痺れました。ジャ・ジャンクーの『罪の手ざわり』は『長江哀歌』がすごく好きだったので期待したけど、そこまでではなかった。
31 エクスペンダブルズ3
32 ペイン&ゲイン
33 ジャージー・ボーイズ
34 アクト・オブ・キリング
35 そこのみにて光輝く
36 アナと雪の女王
37 her 世界でひとつの彼女
38 フューリー
39 LEGO(R)ムービー
40 ゴジラ
この十本でベストテンと言う人がいてもおかしくない傑作揃いですが、個人的には好きにならなかった作品が並んだ感じですね。まぁ、『エクスペンダブルズ3』はそういう枠ではないのですけど。『ペイン&ゲイン』ではマイケル・ベイの狂気を垣間見るどころか浴びさせられた気分です。『ジャージー・ボーイズ』は僕としては何故か「不気味な映画」でした。『アクト・オブ・キリング』も必見の傑作だとは思いますが、映画として好きかどうかと言われるとそこまでじゃないというのが結論。おそらく今年の日本映画で最も評価されるであろう『そこのみにて光輝く』ですが、僕はこういうタッチの恋愛というか青春映画がちょっと苦手です。『アナと雪の女王』の前半部分におけるミュージカルシーンはどこをとっても確かに素晴らしい。『her 世界でひとつの彼女』はホアキン・フェニックスもさることながらの女優の使い方が凄く良いです。『フューリー』の対戦車戦は燃えました。爆音上映で見てみたいです。『LEGO(R)ムービー』はとある構造を持っているところが残念。レゴで押し通してほしかった。『ゴジラ』は期待していた方向と違ってちょっと残念でしたが、続編に期待が持てる出来だったとは思います。
41 インターステラー
42 300 帝国の進撃
43 ワールズ・エンド 酔っぱらいが地球を救う
44 猿の惑星 新世紀
45 インサイド・ルーウィン・デイヴィス
46 ネブラスカ 二つの心をつなぐ旅
47 セインツ-約束の果て
48 名探偵ゴッド・アイ
49 喰女-クイメ-
50 渇き。
『インターステラー』で一番好きなのはトウモロコシ畑を突っ切る場面。もしくはマット・デイモン。『300 帝国の進撃』は唯一前作に勝っている部分があって、それはエヴァ・グリーン様。『ワールズ・エンド』はエドガー・ライト作品では一番微妙ですが、この作品が発する叫びにはちょっと心動かされます。『猿の惑星 新世紀』もコバなど見所ありましたが、前作と比べるとちょっと物足りない部分がありました。『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』『ネブラスカ』『セインツ』などはいい映画だけど好みではないという感じ。『名探偵ゴッド・アイ』はジョニー・トーの中ではかなり好みじゃない作品。『喰女』一番の見どころは床を拭く海老蔵だと思ってます。『渇き。』における妻夫木聡の使い方は今後色んな邦画で見てみたい。
51 X-MEN フューチャー&パスト
52 牢獄処刑人
53 劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』
54 ノア 約束の舟
55 トランスフォーマー/ロストエイジ
56 大脱出
57 マイティ・ソー ダーク・ワールド
58 呪怨 終わりの始まり
59 悪魔の起源-ジン-
『X-MEN フューチャー&パスト』のクイックシルバーはホントに良かったんですけど、そこしか覚えていない。フィリピンの犯罪映画である『牢獄処刑人』も凄く味があっていいんですけどね。『THE IDOLM@STER MOVIE』を見て僕はアイマスのファンなのではなくて声優のファンなのだとわかりました。「ラジオdeアイマchu」が終わってしまってとても残念です。『ノア 約束の舟』後半だけは監督らしさの見える狂気の映画になってて楽しかったです。『トランスフォーマー/ロストエイジ』は『ペイン&ゲイン』と併せてみると面白い類似点がいくつか。『大脱出』『マイティ・ソー2』『呪怨 終わりの始まり』あたりが完全にフラットというか、無感想地帯。『悪魔の起源-ジン-』はあのトビー・フーパー監督作という事で見たのですが、アラブが舞台なのに驚くほど外部のない映画でなんかそれはそれで面白いんですけど、いかんせん全く怖くない。
<ワースト3>
60 るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編
高速で駆ける殺陣は見応えがあると思いますが、それ以外はほぼ全部どうしようもない。とくに演出・脚本のひどさはかなりなものだと思います。ちなみに一番ひどいのは3作目なんですけど、僕としては「誰だお前」「敬礼」などの珍シーンがある分、一番好きかもしれません。
61 TOKYO TRIBE
冒頭の長回しとラップ以外はダメでした。画面がちっとも面白くないし広がらないんですね。そんなわけで、どのトライブがどうとかどうでもいい。勢いに任せてバカやってれば面白くなると思ったら大間違いだと思います。
62 アメイジング・スパイダーマン2
時間が重要なテーマとなっているこの作品は実際出来は全然悪くない思うし、僕もヒーロー映画としてすごく好きな部分はあります。しかし、ある個所で交わされるピーターとグウェンの会話が、僕からこの映画に対する愛情というか感情をすべて奪い去っていきました。あのシーン以降、もう何もかもどうでもいい。この画面に映ってるヤツの何もかもがどうでもいいんです。そんなわけで、今年はこの作品をワーストとさせていただきます。
というわけで、以上でホントに2014年映画ランキングも終わりです。ちなみに旧作に関しては「下半期見た旧作映画ベスト」として記事を書こうと思っているので、来年もよろしくお願いいたします。それでは、良いお年を。
- 作者: ダニエル・ファルコナー,加藤諒,ジョン・ハウ,アラン・リー,株式会社 Bスプラウト
- 出版社/メーカー: ボーンデジタル
- 発売日: 2014/12/19
- メディア: 大型本
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