リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

今年の映画、今年のうちに。2015年新作映画ランキング。

年の瀬でございます。というわけで今年もやります。2015年に見た新作映画ベストテンです。今年も年内のうちに前後篇と分けて公開される作品が何本かあり、昨年はまとめて一本としましたが今年はすべて別々のランキングといたします。また、公開日が昨年になってる作品でも地方では今年劇場公開となった作品があり、今回はそういった作品もランキングに入れております。つまり、今年劇場で見た作品のうち、リバイバル上映を除いたものが選定基準です。それでは今年見た全71本の中から、まず次点とベストテンから発表していきます。




次点 神々のたそがれ

画面の魅力、というより画面の密度が異様に濃い作品で、とにかく画面上に物体が入り込んでくる。その様子はまさに混沌。しかしそれは複雑で豊かな、とんでもない線の設計によるもので、その凄さにただただ圧倒されました。見た後はとにかく疲れましたね。楽しんだかというと微妙ですが、何か凄い物を見たぞという気持ちをもって、この作品を次点とします。
<感想>



10位 マップ・トゥ・ザ・スターズ

いかにもクローネンバーグらしい作品で、内面に抱えた炎のせいですっかり醜い化物と化した登場人物たちの中、唯一炎を体の表面に纏い踊るミア・ワシコウスカが天使となり、肉体と精神の治癒を行えるという話でしょう。幽霊の出し方も良かったですね。
<感想>




9位 WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT

確かにこの作品は出来がいいとかそういうことではないのですが、この作品を入れないとどうしても自分を偽ったような気がして仕様がないので、ここにランクインさせることにしました。プロと素の間にある脚が大変魅力的だったというのも忘れ難いですね。来年の春にアルバムも出るみたいなので、期待が高まります。
<感想>




8位 グリーン・インフェルノ
食い足りないと感じる部分もありますが、ちょっと落ち込み気味だった時期に本作を見て僕は何か色々とスッキリしたんですね。怖くて笑えて、楽しい映画でした。肉になった人をいかにして保存するのかが丁寧に描写されていたのも良いと思います。
<感想>




7位 ヴィジット
しかしその『グリーン・インフェルノ』を超えて楽しかったのが本作。シャマランらしいというような変な描写も含みつつ、ちゃんとした上手い映画ですよね。カメラというものの扱い方やトラウマとの対峙において、しっかりとアクションさせたのも素晴らしいと思います。
<感想>




6位 百円の恋
人生の勝負を避け、惨めさだけをこびりつかせてきたために自分の価値が信じられなくなった者にとって、この主人公が放つ一撃はひたすら重いものがありました。コンビニのエピソードなど首をかしげる場面もありますが、百円の値打ちもない人間が、痛みに耐えてそれでもここに居たいと思わせるまでの作品でしたね。
<感想>




5位 ラン・オールナイト
街から街へと移るカメラワーク以外は全てが最高だったと思います。「家へ招く・招かない」というドラマ。男たちの愛憎。全てアクションの中で語られてゆくのが素晴らしいのです。アクションにしても縦の構図から暗殺者の造形、場面設定など、とにかくかゆいところに手が届いていたと思いますね。
<感想>




4位 ブラックハット

マイケル・マンの美学と行動の哲学が一貫された美しい映画だと思います。男たちは行動によってひたすらカッコよく、女たちもまた行動によって凛々しく映されていると思います。また画面を支配する長方形が妙に印象に残りましたね。世界を規定しているように思えました。
<感想>




3位 ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

間違いなく、シリーズ最高傑作でしょう。トム・クルーズのビックリ人間的スタントを拝むだけでも映画的な興奮が堪能できると思うのですが、撮影もまた素晴らしい。オペラハウスにチェイス、そして夜のロンドンなどは美しく、かつアクションで紡がれてゆく様が素晴らしいと思います。音や編集、それにチーム物としての面白さや、ラブロマンスとしての品の良さにも感動しました。ちなみに『ラン・オールナイト』『ブラックハット』『ミッション:インポッシブル』の3本を見て、やはりアメリカの活劇、というようなジャンルは世界一だなと、改めて思ったのでした。
<感想>




2位 岸辺の旅
この作品が、黒沢清作品の中でベストだとは思いません。しかしそれでもやはり凄いとしかいいようのない瞬間がいくつもあって、相変わらず驚かされてしまったがために、この作品を僕は2位にしました。特にバスから別れのシーンは斜めの動きに垂直の違和感、柱による区切りといった要素が爆発していて、もうただ凄いとしか言いようがなかったですね。照明の自由自在且つ感動的な作用も見所で、まさに光のメディアである映画の表現を垣間見たような気がします。蒼井優もこわかった。あのシーンの、お互い手に持ちつつも飲み物を実は飲んでないのではと思わせるところや、背後で人が行き来したり病院の事務室が見えたりするのも、妙に印象に残っています、
<感想>




1位 マッドマックス 怒りのデス・ロード
この作品については、もう説明不要でしょう。無駄をそぎ落とした結果、純粋なアクションの興奮とシンプルかつ力強いストーリーが残り、また「繋ぐ」という一貫した行動とフュリオサの瞳が、テーマを支えていると思います。この作品をキートンジョン・フォード、または宮崎駿の系列で語ることもできましょう。そして僕はそれを決して褒め過ぎだとは思いません。間違いなく超ド級の傑作であると、改めて、何度だって宣言するために、僕はこの作品を2015年の1位にしたいと思います。こういう作品があるから、映画館に行くのはやめられないんだ。そう思わせてくれる作品でした。
<感想>





<まとめ>
Witness me!!というわけで以上が僕の2015年新作映画ベストテン&次点でした。今年は相当数の話題作が公開され、かなりの盛り上がりを見せた1年だったと思いますが、僕としてはかなりの外れ年で、今回のベストテンを選ぶのもあまり苦労はしませんでした。もちろん選外の作品にも素晴らしい作品はいくつかありましたが、個人的にこれは応援したい、というような作品はほとんどなかったんですね。見逃した作品では『群盗』『きみはいい子』『恋人たち』『映画ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』『さらば、愛の言葉よ』『THE COCKPIT』『ハッピー・アワー』が気になるところです。
さて、今年は社会人二年目となりましたが、まさかの鑑賞数で最高となりました。しかしそのせいかブログを書く時間が減ってしまったため、感想を書いていない作品が多く残ってしまいました。来年は書く時間も増やせたらいいなと思います。
今年も見る作品は厳選したため、これは酷い、と思うような作品はほとんどありません。ただ、今年は期待していたけれど思っていたほどではなかったという作品は結構ありましたね。というわけで以下、今年見た新作の全ランキングと簡単なコメントを載せておきます。ワースト3になる69位まではひどいと思うような作品はないですし、60位の作品までは、好意的な気持ちの方が上です。



<2015年新作映画ランキング>

1 マッドマックス 怒りのデス・ロード
2 岸辺の旅
3 ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
4 ブラックハット
5 ラン・オールナイト
6 百円の恋
7 ヴィジット
8 グリーン・インフェルノ
9 WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT
10 マップ・トゥ・ザ・スターズ
11 神々のたそがれ
12 ガールズ&パンツァー 劇場版
13 戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!FILE-02 暗黒奇譚!蛇女の怪
14 海街diary
15 ストロボ・エッジ
16 薄氷の殺人
17 クリード チャンプを継ぐ男
18 インヒアレント・ヴァイス
19 リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード
20 ジュラシック・ワールド

ガールズ&パンツァー』はアニメでしか表現できない、気が狂ったような戦車戦にひたすら燃えました。ストーリーは劇場版アニメによくあるテレビ版の問題の焼き直しで、そこはまぁ、どうでもいいです。『超コワすぎ2』については、投稿ビデオが丁寧。そして肉体を犠牲にすることで進歩するという、白石監督の今のテーマが見えてくるような作品なのではないでしょうか。またこのFILE-02に関しては、大真面目な恋愛映画としても楽しめる作品でした。『海街diary』は画面の色んな要素を抜き出して語ることもできましょうが、なにより脚の映画でした。歩くことから何から、とにかく脚にまつわる行為が全編に散りばめられているんですね。そして中でも素晴らしいのは、雨の日に泥の跳ねかえった広瀬すずの脚。『ストロボ・エッジ』に関して、僕は今までこういう映画を、半笑いでばかにしていました。しかし意外なことに、これが視線のドラマとして意外にも面白かった。登場人物の台詞はこの世のものとは思えないのですが、それでもちょっと衝撃でしたね。有村架純も可愛い。『薄氷の殺人』で一番記憶に残っているのは傘です。あの傘の開くタイミング。あとは回るというモチーフ、寂れた電車、音の凄さ。そしてグイ・ルンメイの線の美しさ。『クリード チャンプを継ぐ男』は撮影がいいです。長回しとかそういう凝ったことだけでなく、なんてことはないシーンでも照明のおかげか、カッコいい画面が続いたと思います。しかしカッコつけすぎだったりやりすぎな部分もあるのでそこがちょっと好みではない。スタローンが名演を見せていますが、ドアをチラ見するシーンには萌えます。『インヒアレント・ヴァイス』、この作品は難物で、マリファナを吸い続ける登場人物同様、見ている僕も一体何が起こっているのか、ぽわ〜んとした感覚に包まれてしまうということですね。画面もいいし、物語から滲みでる切なさ、そしてチョコバナナを食べ続けている男がなぜ食べ続けているのかなど考えてみれば楽しいことはいっぱいありますが、とりあえずぽか〜んとした空気に迷い込むような空気感が不思議でした。『リトルウィッチアカデミア』はもう単純に楽しかった。テンポが最高に良くて、とにかく生き生きとしたアニメーションだと思います。『ジュラシック・ワールド』はあのテーマパークの扉が開いた瞬間にこれでもかと泣きましたが、色々と文句も言いたくなる作品でした。



21 野火
22 アメリカン・スナイパー
23 龍三と七人の子分たち
24 海にかかる霧
25 私の少女
26 ホーンズ 容疑者と告白の角
27 セッション
28 スター・ウォーズ/フォースの覚醒
29 戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 最終章
30 サンドラの週末

『野火』はあの男が最後に自らの口の中を見せるとき、そこに地獄が広がっているように感じられ、不思議と涙を流してしまいました。『アメリカン・スナイパー』『龍三と七人の子分たち』は、それぞれ特異な魅力のある作品ではあると思うのですが、同監督の中ではいい作品ではないと思います。『海にかかる霧』はホラー的な部分が最高で、船長にとっての家でもある船が、しっかりと崩壊するのも最高でした。『私の少女』はペ・ドゥナとキム・セロンの放つ魅力にやられる。ランニングするペ・ドゥナ、ダンスを踊るキム・セロン、自転車で二人乗りするところ、そしてラストの車。『ホーンズ』は下衆なコメディやサスペンスの面を見せつつ、基本的に恋愛映画として進んでゆくのですが、その軸となるダニエル・ラドクリフが良かったですね。『セッション』はまさに腕と腕のぶつかり合いで、J・K・シモンズのあの腕に支配されるような感じがありました。『スター・ウォーズ』はエピソード8にすべてを託すという前提条件つきで、現状ベストな出来をみせたと思います。『コワすぎ!最終章』に関しては、シリーズとしてはもう、壮大になりすぎちゃったかなと思います。『サンドラの週末』における壁と空間の扱い、そして斜めの動きについて、良いなぁと思いましたね。



31 007 スペクター
32 極道大戦争
33 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
34 22ジャンプストリート
35 ビッグ・アイズ
36 イミテーション・ゲーム
37 フォックスキャッチャー
38 百日紅〜miss hokusai〜
39 ソロモンの偽証 前篇・事件
40 チャッピー

『スペクター』はボンドが歩く姿が異様にカッコいい。『極道大戦争』は一人だけホラーになる高島礼子に爆笑。また下らないようでいて基礎がしっかりしていることに好感を持ちました。『進撃の巨人 前篇』は、確かに出来がいいと言い難い。けれども確かに応援したくなる魅力もそこには備わっていたのだから、この順位に置きたい。メタから下ネタそしてエンドクレジットまでギャグの洪水で埋め尽くされた『22ジャンプストリート』で一番輝いていたのはブチ切れまくるアイス・キューブでした。『ビッグ・アイズ』のエイミー・アダムスと、その娘のキャスティングは素晴らしかったですね。繰り返される、手をつなぐという動作にも感動しました。『イミテーション・ゲーム』は非常に脚本が練られた映画で、特にエニグマの秘密に気づく場面の周到さに驚きました。しかし映像の面白味が足りない。『フォックスキャッチャー』における肉体の接触が意味するところ、そして僕のなかにもいるデュポンの姿は好みなんだけど、どうもベネット・ミラーとは相性が悪いみたいです。『百日紅』で最も忘れ難いのはお猶が雪遊びをする場面で、何が起こるというわけでもないのに、なにか心に残るものがありました。『ソロモンの偽証 前篇』では全体を不穏な空気で包む点においてかなり成功しており、特に保健室のシーンは忘れ難い。『チャッピー』はヨーランディ&ニンジャのコンビ、そしてはしゃぎながら虐殺を実行するヒュー・ジャックマンが面白かった。



41 アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
42 ソレダケ that's it
43 戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!FILE-01恐怖降臨!コックリさん
44 ゼロの未来
45 エクソダス:神と王
46 ジョン・ウィック
47 ナイトクローラー
48 ウォーリアー
49 ババドック
50 インサイド・ヘッド

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は前作に比べ面白さでは劣るけれど、冒頭の長回し、そしてヴィジョンの表現など、ちゃんと挑戦していて偉いと思います。『ソレダケ that's it』は『狂い咲きサンダーロード』『爆裂都市』『シャッフル』『ELECTRIC DRAGON 80000V』といった過去作と比べると流石に劣るけれど、日用品で武装する場面はいいし、未だにこういった作品を撮るということ、それを劇場で見るということがうれしかったです。『超コワすぎ1』では工藤のタチの悪さに拍車がかかっていて面白い。超になってからの方向性も最初から割とはっきりしていると思います。『ゼロの未来』はティルダ・スウィントンに笑いましたね。禁止事項だらけの公園も最高。『エクソダス』は歴史大作でも宗教映画でもなく大虐殺映画であって、その部分が楽しかった。『ジョン・ウィック』は喪服の殺し屋が死体を築き上げる様式美的な作品で、そのために清掃屋やホテルといった設定も生きているのが、良かったですね。『ナイトクローラー』の室内を捉えた撮影は好きですが、映画自体が倫理の範囲内に落ち着いてしまったのが惜しいですね。『ウォーリアー』は試合シーンのカメラが揺れすぎなことについて文句を言いたくなりました。でもいい映画だと思いますよ。『ババドック』はシングルマザーが主人公の『シャイニング』といった感じで面白いです。時間のとばし方が効果的で、また音の入り方も良い。ただちょっと理路整然としすぎかなぁと。『インサイド・ヘッド』、とてもいい映画です。素晴らしい作品です。しかしヨロコビの、あまりのウザさに僕は辟易としたので、不当にこの順位とします。



51 アントマン
52 黒衣の刺客
53 約束の地
54 ベイマックス
55 スガラムルディの魔女
56 クリミナル・アフェア 魔警
57 ブルー・リベンジ
58 奪還者
59 プリデスティネーション
60 皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇

アントマン』も小気味良い作品で、特にマイケル・ペーニャ機関車トーマスの活躍、子供部屋は空想の聖地だという宣言は最高なのですが、このあたりで我慢していただきたい。『黒衣の刺客』や『約束の地』のように画面が凄まじく美しくとも、映画として好みだったかと問われると必ずしもそうではないんですよね。どちらもただ絵画的に美しいわけではないのですが、それでもこの順位です。『ベイマックス』、良い映画でしたね。それ以上言うことはありません。つまり、良い映画だと思うけど好みじゃない。それだけの話です。『スガラムルディの魔女』の序盤は最高に楽しかった。後半も楽しいのですが、順位としてはこのくらいです。『クリミナル・アフェア 魔警』は特に前半には面白いところもあると思いますが、映像にエフェクトをかけすぎで勿体ない。『ブルー・リベンジ』と『奪還者』はごっちゃになってしまっていますが、『ブルー・リベンジ』はそのリベンジまでが面白く、また頭をブッ飛ばすあたりも記憶には残っています。『奪還者』については、ロバート・パティンソンがすごく良かったです。『プリデスティネーション』では円のモチーフが繰り返し使われていたこと、サラ・スヌークという女優の凄さは印象に残っています。『皆殺しバラッド』というドキュメンタリーによって伝えられたメキシコの新しい文化「ナルコ・コリード」とそれによって生まれた死の宮殿を知れたという点では、面白かったですね。



61 心が叫びたがってるんだ。
62 幕が上がる
63 ラブライブ!The School Idol Movie
64 さよなら、人類
65 バケモノの子
66 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
67 スペシャルID 特殊身分
68 ソロモンの偽証 後篇・裁判

心が叫びたがってるんだ。』は全然悪い映画ではないけれど、ミュージカルの扱いについてどうしても納得できない。『幕が上がる』も悪くないと思いますが、ももクロという素材を使ってこの程度かとしか思えなかったし、せっかくの魅力を殺してしまっているシーンまであった。なのでちょっと、許せない作品でもありますね。『ラブライブ!The School Idol Movie』の出来は、それこそワースト級に酷いと思います。しかしこの作品にうっかり備わってしまった恐怖は見過ごせないものがあり、そのため実は未だ態度を決めきれないでいるのですが、これより上にランクインさせることもできないため、ここに入れることにしました。衝撃度だけなら、今年の作品でも上位です。『さよなら、人類』は、軍隊のエピソードだけかなり良くて、他は確かに構図や色調は決まっているけれど・・・という感じでした。『バケモノの子』をこんな下に置くのはちょっと可哀想な気もしますが、ガッカリ度でいえば今年最高レベル。特に後半が好みじゃなかったです。アカデミー賞作品賞を受賞した『バードマン』ですが、長回しにしても効果的だったのは少しの瞬間のみで、業界人の悩みにしても中途半端でしかないと感じましたね。『スペシャルID 特殊身分』は、いくらドニー・イェンが出ていても、必ずしも面白いわけではない、ということがわかりました。『ソロモンの偽証 後篇・裁判』の前半と比べたときの失速ぶりは酷い。テーマを語るだけに終始してしまった映画は退屈である。



<ワースト3>
69 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド
映画化すると聞いて思った「もしこうなったら最悪だな」という嫌な予想にピタリとあてはまるような作品で、前編の良さを消しさった後篇だったのではないでしょうか。特に壁という装置をあそこまで利用できないのはガッカリでした。ただし『2001年宇宙の旅』の恥ずかしげもないオマージュとか、やりたいことはわかるよと擁護することはできるので、ワースト3位程度に収めておきたいと思います。まぁ予想できたダメさだし。



70 劇場霊
恐るべきつまらなさ。『クロユリ団地』ではまだ面白味の有るショットも見られたというのに、ここに見るべきものはない。照明は引き続き工夫していて、ダリオ・アルジェント作品やジョルジュ・フェローニ『生血を吸う女』を連想する感じにはなっています。ただしそれらは一つもうまく機能していないし、人形の扱いもどうしようもない。女優は悪くないので、これは演出側が悪いんでしょう。



71 ターミネーター:新起動/ジェニシス
今年最もガッカリした作品はこれです。シリーズの中でも最高につまらない、おそるべき退屈さ。過去4作は出来に差こそあれ、どれもオリジナルな要素をしっかり入れてきていたというのに、本作は過去シリーズの寄せ集めと現代アクションの凡庸な融合でしかない。ストーリーも演出もなにもかも、全く以て見所がないと思いました。サラ・コナー役のエミリア・クラークリンダ・ハミルトンに似ていて良いとか、その程度のくだらないことにしか注目することが出来ない。これを以て、ターミネーターシリーズは完全に失墜したと思っています。文句なしに今年ワースト。



はい、というわけで以上で本当に2015年新作映画ランキングは終了です。ちなみに旧作に関しては、いつも通り、年明けに「下半期に見た旧作映画ベスト」という形でブログに書こうと思っておりますので、そちらもぜひ見てやってください。それではみなさん、良いお年を。