リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『イップ・マン 葉問』を見た。

魂の傑作カンフー

ブルース・リーの師匠であるというイップ・マンのお話。僕はカンフーあまり見ないので主演のドニー・イェンも良く知らない。そんなカンフー素人の僕だけどマジで面白かった!すげぇ!


映画の中のアクションの面白さってこういうことじゃないか?ホント3Dなんかには全然負けてないと思う。というわけでこんなブログ読んでる暇あったら今すぐ劇場に行けばいいんですよ!


以降若干ネタばれ。


戦後、イギリス統治下にある香港に、イップ・マン(ドニー・イェン)は家族で引っ越してきた。新天地で彼は新しく武館を始めるが、開設するには香港武術界の師匠たちの挑戦を受けなければいけなかった。そこでイップ・マンは香港武術界を取り締まる洪拳の師匠、ホン(サモ・ハン・キンポー)と激闘を繰り広げる。最初は対立しあっていた2人だが、互いに武術家として認め合うのであった。そんな中、警察署長ウォーレスの主催するボクシング大会で、イギリス人ボクサーのツイスターが中国武術をバカにした。それを聞いたホン師匠は決闘をすることになるのだが・・・というストーリー。



イップ・マンは常に静かで温和そうな優しい表情を見せている人。ガタイがいいわけではないので、一見武術の達人には見えないが、彼が技を繰り出せばするすると流れるような無駄のない動きで、相手に攻撃をさせず圧倒する。そして雨のようにズガガガガッ!と降り注ぐパンチ。静かさの中に激しさを秘め、飄々と佇まう達人、それがイップ・マンである。



アクションシーンはまず門下生となる青年との闘いが初めにあり、2人対大人数の大乱闘、さまざまな流派の師匠との円テーブル上での闘い、サモ・ハンとの決闘、そしてボクサーとの死闘。アクションシーンがそれぞれ個性を放ち、テンポ良く展開される。最初のアクションは割とゆるりとしており「こういう拳法なのか」と印象付ける。そこからだんだんストーリーのテンションと合わせ盛り上がりを見せる。アクションのおまけとしてストーリーがあるのではなく、両者がうまく絡み合っていると感じた。そして僕はそのストーリーにマジで感動した。



家族愛、師弟愛といった部分も良かった。しかしやはりサモ・ハン演じるホンとの友情物語がすごく良くてね。最初に出会ったときは険悪なムードだったのが円テーブルでの決闘などを経て段々互いを認めていく。
テーブル上で二人が戦うシーンはこの映画の中でも最高の見せ場の一つだと思います。肉体言語というか、緊張感あふれる中に語られないものが存在しているように思えるのです。


そしてホンは生意気なボクシング野郎・ツイスターと戦うのですが、このシーンでは何発もぶち込まれてボロボロになっても中国武術への侮辱を許すわけにはいかない」と言い、立ち上がる。もうこのシーンは泣けて泣けて仕方がないんだよ!


このツイスターという男は初登場時からホンの挨拶も無視して上着を投げて渡すという差別意識丸出しの嫌な奴で、そんなんだからもうこっちは完全に中国人と一緒に「イギリスのやつらムカつくなあ」となっているわけです。
そんな男に名誉をかけた戦いの中でホンは最後にはリング上で殺されてしまいます。それを見ていたイップ・マンは名誉のため、友のため立ち上がるのです。もうここでガーッ!!と盛り上がるんです!そしてイップ・マンとツイスターの戦いではホンの回想をはさみながらの魂の合体殺法(『映画秘宝2011年3月号 知野二郎さん命名』)で攻撃!これが劇場じゃなかったら叫んでたよ!「やれ!行け!」って!



ただ一つ大きな文句があって、これ本当は「2」なんですよね。最初に『イップ・マン 序章』があってこれなんです。
しかし何を思ったか日本では先にこちらを公開。というわけでなんじゃそりゃあ!!というのが唯一の問題。しかも『序章』はさらに面白いだとか。
しかし、これ単体でも十分楽しめます。


とにかく、カンフーに興味のある人もない人も男なら(女でももちろん良し)見るべき映画だったと思います。ネタばれとは断ったものの、良いシーンは全部書いちゃった。しかしカンフーシーンももちろん大変素晴らしいのでホント、是非見てほしい。ラストのおまけ要素的なものにもニヤっとさせられますよ。





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