リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』を見た。

イカリ!!!!


人気シリーズ第4弾。3で一度話は終わっているので新しい登場人物を迎え、仕切り直しということになっております。



ストーリーは超シンプル。泉を探すということそれだけ。しかし、それだけなのに上映時間は140分ほどもある。それで面白いかと言えばそうでもないのがつらいところ。というのもこの長尺はいろいろなエピソードをぶち込んだ結果だと言えるのだが、そのエピソードがいちいち本筋と関係もないし、サスペンスやドラマにもならないのでなくてもいい話の連続と言える。「この場所ではこれが必要だ、しかし、どこにそれが?」というような謎解き要素もなく、「ここにこれがある」と、登場人物がすべて何がどこにあるのか分かっているのも物語の引っ張る力をそいでいる。だから本当にただ長いだけなのだ。


それが最も顕著だったのは人魚と宣教師の恋物語だと思う。宣教師は前作まででいうウィル・ターナー的役なのだが、本作ではただ記号的に<いい人>とだけ描かれ、彼の人生のバックグラウンドが見えてこない。彼が本当はどういう人間なのかいうのを描いていないので感情移入できない。表面的すぎる。
人魚の方も恋愛関係に発展するというのがおとぎ話とは違う設定故納得しづらい。ここで描かれるのが要素としての記号的恋愛でしかないので見ていても特別何か感情を動かされることはない。



そして新キャラクターの黒ひげ、こいつがまた魅力的じゃないのだ。というのも彼は最悪の海賊だというがそんなに悪だとも思えないし、さらに言えば強そうでもない。やることが今までのシリーズの中でも特別酷いとかそういうこともなければアクションで強いというところを見せるわけでもないのだ。極悪さが伝わらないだけではなく何故彼は魔術めいたことを使えるのかも全くわからないし、そもそもどういう人間なのかもよくわからない。つまりはこのキャラの魅力を引き出せていないのだ。これも記号的に超毒抜きされた悪い人程度だ。
だいたいあんなすごい魔術使えるならもっと使えよ、とも思う。最強最悪の海賊っていうならもっと魔術とか使ってバンバン人を無慈悲に殺すとか人魚が普通の人間チックに変身したら犯すとかそんくらい極悪非道の下種野郎だったらよかったのに。


黒ひげのバックグラウンドもよくわからないが、その娘(ここで本当に娘か、みたいな話も出で来るが特に意味はなし)のアンジェリカもそれは同じだ。新キャラクターを出したはいいけどそれが面白くもなんともないってのはどうなんだろう。



ほかにもスペイン軍の行動も説得力がないとか、アクションパート以外はマジでつまらんとかいろいろ問題はあるけれど、おなじみのジャック・スパロウはまあ愉快だし、英国王につかえる言語聴覚士・・・じゃなかった、バルボッサも楽しくドタバタしていて、この二人が出てるシーンは好きなら楽しめるので、おなじみの顔が見れれば良いという人は見に行けば楽しめるでしょう。