リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『ハリー・ポッターと死の秘宝 pert2』を見た。

その魔法は永遠に


ついにハリーポッターシリーズの最終章、その後篇が公開。10年間続いてきたシリーズのホントの最後。


まず個人的な『ハリー・ポッター』に対する姿勢、つまりファンかそうではないかと言うと僕はシリーズ全て原作も映画も見ているような人間である。かと言ってこのシリーズが大好きかと言うとそういうわけでもない。面白いかと言われれば全面的に肯定はできないと思うし、「史上最強のファンタジー」なんて言われると「それは『ロード・オブ・ザ・リング』だよ!」と必死になって否定する男なんで。
とはいえ、小学生のころからずーっと見続けているので愛着はあるように思う。実際公開初日に駆けつけたし。というわけで、そういう視点からの感想です。あ、ちなみにそれなりにネタバレです。





では本題。

前回の『死の秘宝 part1』は大した盛り上がりもなくだらだらと分霊箱探しをしているという感じで、今回の『後篇』へのつなぎでしかなかったが『part2』では最初から見せ場の連続である。特に舞台がホグワーツに移ってからの戦争はなかなか面白いです。ほら、よーく知ってる場所がぶっ壊れてるのって見てて面白いじゃないですか。まあもうちょっと壊れてく様を眺めていたいのとも思いましたが、普段「あぁ学校ぶっ壊れないかなあ」と思ってた僕としては好きでしたねこの感じ。
そんなわけでホグワーツが瓦礫の山になっていきます。そのほかにもドラゴンが出てきてゴブリンを焼き殺したり人が燃えたり蛇にかまれて死んだり結構恐ろしいことになってますね。散々言われてますが「子供向け」はもう通用しない映画になってます。もちろん描写だけでなくストーリーもです。


今回は物語のまとめということでハリーが「特別」である理由など様々なことが明かされていく。そのなかでも個人的にはスネイプにかかわる部分にグッときた。スネイプは1作目からハリーの敵なのか味方なのか分からないミステリアスな男でどの作品でも一つのキーとなっている。
そんな謎を含んだ存在である彼の真の目的、そしてその生きざまには心動かされましたね。スネイプ主演で映画作ってほしいくらいですよ!まあはっきり言って裏主人公みたいなもんです。ある場面で彼が言う「永遠に」というセリフは原作でも超かっこよくて泣けるポイントでしたが、映画でもばっちりでした。泣けるんですねー。自分の感情を上手に伝えることが出来ず、相手と自分を傷つけてしまい取り返しがつかなくなってもなお愛し続けた悲しい男の一生に涙一筋ですよ。いやあこれだけでも満足ですね僕は。演じるアラン・リックマンも素晴らしかったですね。



それ以外の脇を固めていたキャラクターにも見せ場があって良かったと思います。特にネビル・ロングボトム君の活躍っぷりとマクゴナガル先生のお茶目なところとか(「牢獄」発言はどうかと思わなくもないけど)。実はネビルは1作目からキーだったけど、こんなになるなんてねぇ。ばっちりキメてくれましたよ。(ちなみにキャラクターでいうと僕はハーマイオニーを演じるエマ・ワトソンと同い年で、映画初期の頃からまあすっかり魅了されていたのです。というわけで本作も健やかに成長したハーマイオニーを眺めてるだけでそれなりに楽しめました。)

そんな意外な活躍も含め7作と言う歴史の中でかつて子供だったキャラクター達が、誰かに見守られている存在ではなく自分の意志で判断し、誰かを守る存在へと変わっていってるのだと最終作で実感しました。感慨深い。



ただ少し残念だったのは。魔法学校と闇の軍団の最終決戦ということで敵味方大勢死んでしまうのだが、そこがあっさりしすぎな感じである。重要人物の死も割と淡白な感じで、そこは命をかけて生徒も先生も戦いに臨んでいる様子、激しい攻防戦等と絡めてもうちょっと見せてほしいという欲求もあるかな。


まぁ他にもハグリットの扱いとかまあ最後の杖バトルに関して微妙に地味だとかいくつか微妙かなと思う部分はある。全体として『指輪』と比べるとやはりレベルは下がるものの、これだけ長く続いた物語をちゃんとまとめたなと思うし、グッと来るポイントもあるよい完結編だったように思います。でもパンフレットは相変わらず最悪なので買わないくていいですよ。