『SRサイタマノラッパー』を見たよ
DVDで鑑賞。RHYMESTERの宇多丸さんがラジオで2009年の1位に選出していた作品で、結構話題になっていた作品。すでに公開から1年近くたちましたが、僕もようやく見れましたよ。
結論から言うと、まあ良かった。
僕はラップはあんまり聞かないし、昔はろくに聞きもしないで「日本語ラップだせぇ」と、批判していた人間だったので、詳しくはわからないが、日本でラップをやるのは難しいことだと思う。あまり根づいてないし、やっぱり馬鹿にされていることもあると思うのだ。
この映画でもそいうった異質さを描いていて、それが会議室(?)のシーンや、みひろの演じるキャラクターによって浮き彫りにされていく。びりびりするような空気のなかでラップをする会議室のシーン。そしてラストの居酒屋のシーンは凄いと思う。長回しによって押し上げられる緊張感。そしてラップに対する世間からの冷静な目を挟んだことにより、日本でラップをするということの難しさを見事に描いていた。
主人公のIKKUはラッパーで有名になることを目指しているが、劇中で自分自身が何も持っていないことを突きつけられる。貧しいし、なにも達成していないし、それを知る冷静さも自分にはなかった。そしてできることといえば、かつての同級生の女性を言葉で傷つけてしまうことだけであった。
自分には何もないことという事実を知ったときに、IKKUは今までとは違い初めて自分の言葉をラップで吐き出す。そこには本当の言葉がある。それは先の見えないところに向かって、とりあえず前進していくしかないという足掻きから生まれたものであり、みっともなくても嘲笑されてもそれが彼の姿なのだ。そしてだからこそラストのラップシーンはグッとくるものがあるのである。
少なくとも才能だけでなんとかなる『BECK』なんかとは比べものにならないほど感動的でいい映画である。ラストも安易なハッピーエンドにせず、どうとも取れない終わり方なのが余韻を残す。見て損はない映画でしょう。
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- 発売日: 2010/05/28
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