リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『SUPER 8』を見た。

8ミリカメラから始まる冒険


J・J・エイブラムス監督、プロデューサーにはスピルバーグ。映画の詳しい情報が出回らず色々話題の作品です。そんな状況ですのでどこまでがネタばれなのかよくわからないのである程度抑えますが気になってる人はまずパソコンをシャットダウンして劇場へ行ってみるのはどうでしょう。




ストーリーは、8ミリフィルムで自主制作映画を作っていた子供たちが偶然列車事故を目撃してしまう。それから町では次々に異変が起こり始め・・・というもの。
よくいわれているように本作は非常にスピルバーグ映画へのオマージュが溢れています(あとジョージ・A・ロメロ)。なのでとりあえずスピ映画やその頃の青春映画を見ている人ならまず間違いなく楽しめるでしょう。
個人的には生まれが90年代ということもありスピルバーグのそれまで映画を劇場で見ることはもちろん叶わないのですが、幼少のころからテレビで見ていたので思い入れがあります。そうなるとこの映画、なんでもないシーンも何故だかグッとくるものがあるのですね。主役が映画好きな子供たちというのもこう、彼らは監督の分身なのでしょうけど、かつて映画好きだった少年がそのころ憧れた作品・監督への愛を示した映画で自分たちの過去の姿を扱うというのがまたいいじゃないですか。
つまりは、そういうところも含めとにかく愛がつまっている映画なんですよ。インタビューでも答えていましたが監督はほんとにスピルバーグの映画を愛しているみたいで、それを含めそんな映画全般への(あんまりオタク的ではない)愛がスクリーン越しにビンビンと伝わってきたような気がします。



もちろんそれらを体験してない人でも関係なくオススメできる。そもそもスピルバーグの映画だってそうだったようにエンターテイメントとして良くできた映画であるのだ。
映像・音の迫力、これがまあ凄い。まず最初の列車事故のシーンから大爆発でド迫力なんだけどこれでもまだまだ凄いのはそこだけじゃないからね。あと結構ドキドキします。ショック描写も少しあります。そういうところ大切です。
ストーリーは王道なのだけれど丁寧に作られているように感じる。そもそもこれはSF映画の要素がふんだんに盛り込まれてはいるものの基本は子どもたちの青春物語です。子供たちがひと夏の冒険を通して成長していく様を描いており、その中のある象徴としてエイリアンが出てくるというわけでちゃんとラストへ向けてドラマを展開させています。ラストは、ちょっと展開に難ありではありますが力技で押し通ししてきて、分かっていてもウルっときましたね。



青春、恋、SF、という要素が、そして映画への愛がつまったエンターテイメントとしてよくできてる映画なのは間違いないのでとにかくおすすめです。今年の夏一番の注目作ですので気になったなら見た方が良いです。









○最後に、少し思ったこと(ネタばれ)


・怪物君がなかなか姿を現さないのは『ジョーズ』『エイリアン』あたりかとおもうのですが、『ジュラッシックパーク』を連想させるようなシーンが結構あったように思う。木がガサガサ動くとか、バスとか。造形は『クローバーフィールド』なんだけど。


・デブ監督君がアリスを誘った理由を打ち明けるシーンは自分のことかと思うくらい切なかった。本作で誰に一番感情移入するかって、そりゃああのデブ監督ですよ。なのでそのあと彼がさほど活躍したように思えないのが少し残念。ジョーを行かせるシーンでは「ここは俺に任せて先へ行け」的展開がもう少しあったらなあと。


・感動したラストではあるんだけど、どうも納得いかない部分が・・・あのペンダントとそれは対応してるのか?というかあのシーンは感動的なのか?というのは気になる。



・ルーシー結局どうした