リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『塔の上のラプンツェル』を見た。

果報は寝て待つな。


ディズニー長編アニメ50本目の本作。北海道には一つしかないIMAX3Dで見てきました。



魔法の髪を持ち生まれてきた姫、ラプンツェル。しかし彼女は生まれてすぐに、その力を独り占めしようとするこわーい魔女にさらわれてしまう。その魔女は自分を母と偽り、ラプンツェルを人里離れた塔の中で育て、外へは出さず、髪も切らせずに育ててきた。時は流れラプンツェル18歳の誕生日が近付いたある日、彼女は外の世界に出て自分の誕生日になると現れる無数の光の正体を確かめようとする。しかし母親に反対され、外に出ることを許されなかった。そんな中、フリンという手配中の盗賊が偶然ラプンツェルの住む塔を見つける・・・というストーリー。



というわけで『カリオストロの城』チックな話。個人的に好きだったシーンはラプンツェルがはじめて塔の外に出たとき、その嬉しさと母親への罪悪感で感情がいったりきたりするところ。ここはだいぶ笑った。もちろんミュージカルは言わずもがな。そして高所アクションも迫力あった。CGの表現というのも進化しているなあと、日常の風景から幻想的なものまでイロイロなものを再現するということが可能なんだとしみじみ思った。
それと好きだったのは馬のマキシマス。こいつは表情豊かで笑わせてくれるし、男らしさも持ち合わせている。いいキャラ。

しかし何といっても一番見どころは灯篭流しのような、夜空にたくさんの明かりを浮かべラプンツェルを偲ぶシーンの幻想的な美しさ。監督はタイの「コームロイ」と呼ばれるスカイランタンをモデルにしたらしいが。
もちろん、美しく輝く長い髪の表現も素晴らしい。パンフレットに書いてあったが、新たにソフトウェアを開発したり、髪の構造を模した大量のチューブを手動で動かし髪の質感を再現させるなど、大変な苦労があったようだ。その結果まるで生物の様にうねる髪が誕生した。そしてそんなCMモデルの様な美しい髪だけでなく、若い女の子の若々しい肌、肉付きもしっかり表現されていたように思う。



そういった苦労から生まれたラプンツェルは好奇心旺盛で、活発な女の子。彼女は塔の中という限られた空間の中で母親の手で(一応)大切に育てられてきた。しかし、それをいつまでも続けるわけにはいかない。塔の中は安全で守られているミニマムな世界だが、やがてはそこから旅立たなければいけないのだ。
彼女の長い魔法の髪は彼女を縛る鎖だ。それをほどいて彼女自身の手で未知なる世界へ踏み出し、危険の待ち受ける外界へ行き、自信の力で未来を切り開き、様々な人の手助けによっていくことによって成長していくのだ。自分から動こうとしなければ、彼女は何も変わらなかっただろう。


寝ているだけではもう何も始まらない。王子様やキスではなく、自分自身で生きていく。ラプンツェルは歌って踊り、ついでにフライパンを持って悪いやつらと戦う女の子。古典的なディズニー映画のようでありながら、新しい技術や時代に合った性格を反映させている映画でした。突っ込みたいところがないわけではないけど、楽しく見れた映画でした。


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