リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『ザ ライト-エクソシストの真実-』を見た。

とりもどせ!信仰!

エクソシストのお話。「実話に基づいている」そうな。


家業が嫌で神学校に入ったマイケル・コヴァック(コリン・オドノヒュー)だが、信仰浅く司祭になることを拒んでいた。そんなとき恩師であるマシュー神父にローマへ行きエクソシスト養成講座を受けることを強引に勧められ、とりあえず行ってみるも悪魔の存在を確信できない。その様子を見たザビエル神父は一流のエクソシストであるルーカス神父(アンソニー・ホプキンス)を紹介する。そこでマイケルが向かうとちょうど悪魔払いの儀式を始めるところだった・・・というストーリー。


悪魔払いと言えば『エクソシスト』がなにより有名だと思うのですが、本作も意識した部分は多そう。初めて悪魔払いを見たマイケルに対しルーカスが「緑のゲロを吐いたり首が回ったりすると思ったか?」と問いかけるシーンまである事からもそれはうかがえる。最初は否定的だった神父がだんだん信じるというのも似てるか。


しかし『エクソシスト』はカラス神父が戦いを挑むことを決めてからも悪霊さんはバリバリ暴れてくれるけど本作は信仰を取り戻したらそれで終わり。悪霊も特別暴れることなくサヨナラしてしまう。つまりこれはキリスト教の信仰を取り戻す話ということになる。
その取り戻す理由なのだが、これがどうも納得できない。詳しくネタばれはしないが、これでは「よくわからんけどこの世の真実はそうらしいね、じゃあわかったよ」という感じなのである。信じがたい出来事に対し「実際こうなんだから仕方ないっしょ!」感があり、全くキリストの教えなんて信じていない側からだと宗教の危うさを見せているように思える。
何よりストーリー上では信仰を失うきっかけがあるのにそれとは全然関係ないところで解決ってのはどうなんだよと思うわけなのである。ちゃんと自分の中にある苦悩を乗り越えろよと、そう思わずにいられない。


それ以外の、例えば悪魔払いのシーンももっと『エクソシスト』っぽいというか、やっぱり少女がゲロはいたり卑猥な言葉を言ったり股にグサグサと十字架を刺すのが見たいというものである。事実じゃないかもしれないがそれこそが悪魔憑きの醍醐味だと思う。ラマの登場もなんか間抜けな感じであったし、猫やカエル(悪魔バールの仮の姿らしい)ももう少しアクションがほしかった。
ただ、そういうのも事実だから地味なのも仕方ないか・・・と思っていた。しかしパンフレットに脚本・マイケル・ペトローニのインタヴューが載ってた。そこにこんなことが書いてある。

「悪魔払いを受けた女性がバケツ1杯分の精液と思われる液体を吐き出したそうだ。聞いて胸糞悪くなったよ。わざわざこんなシーン映画にする必要もないよね」

それ見てぇ!見てぇよ!


とはいえアンソニー・ホプキンスがとりつかれた時は割と見ものではある。黒く血管が浮き出たり、ぐいぐい迫ってきたり子供をひっぱたいたりとかね。



とにかくまあイロイロ不満が多い映画でした。あのヒロイン全然出てくる必要ないじゃん・・・とか、まあイロイロです。ただし面白い部分もあります。コメディみたいにして笑わせる部分もあったりするし、つまらないというよりはおかしな映画、という感じかもしれない。なので別に暇じゃないなら行かなくていいと思いますが、こういうジャンルが好きなら見るのもいいかもしれないと思います。


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↑「神は死んだ!悪魔は健在だ!」