リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『孫文の義士団』を見た

俺の屍を越えていけ


1906年、英国統治下の香港に孫文がやってきて中国同盟会の代表と会合をするという情報が流れた。それを聞いた西太后国賊である孫文の500人もの数からなる暗殺団を差し向ける。対して革命賛成派は孫文を守る義士団を結成。彼の滞在は一時間。命をかけた戦いが今始まろうとしていた・・・。というストーリー。



ドニー・イェン主演。『イップマン』の圧倒的アクションですっかりやられてしまった僕はもちろんアクションに大きな期待をかけて見に行ったわけです。予告編を見ると本作は市街地での戦いということで一体どんなものを見せてくれるのかと楽しみにしていましたよ。


ところが、映画が始まって1時間くらいはほとんどアクションがありません。ここではじっくりと登場人物たちの状況、背景説明に使われます。僕はここが大変長く感じました。もっと手際よくまとめられんのか、とそう思ったのですね。この描写が長くなっている理由の一つにはとてつもなく分かりやすい、目立ちまくりの死亡フラグが乱立するというところにあると思う。もうフラグっぷりがど真ん中ストレート!そしてしつこい!ここまでやられるとなんかもう許す気にもなるけどもっとコンパクトにしてほしかったですね。あともう少しだけでもみんなでキャッキャするシーンがあれば良かったかも。少なくともサイモン・ヤムの娘は。


ドニー・イェン主演と書きましたが実際は義士団全員にスポットが当てられているので特定の主役はないように思う。あえて言うなら義士団を結成する大商人のワン・シュエチーがそれにあたるのかな。
大商人を中心に集まった義士団。彼らが志願する理由は個人的なものから革命という行為に対する情熱まで様々。そんなバラバラな思いの奴らが孫文の護衛という一つの目的のもとにあつまってくるのですね。実際ここは結構泣ける(「一度くらい他人の役に立てよ!」)。まあ死亡フラグなんですけどね。



というように前半一時間はほとんど人間ドラマだ。しかし、後半は?そう、アクションですよ。

開始の合図(死体がドーン)から始まる怒涛の戦闘シーンは凄い!市街地を駆け抜ける義士団、襲い来る暗殺集団、ここはもう興奮ですねぇ。次々に襲いかかる強敵!次々と回収されていくフラグ!この回収作業がまた良くてね。一人一人見せ場がバッチリあるんですよ。そしてそれがいちいちカッコいい。カッコいいし熱いのだけれど皆夢半ばで次々と倒れていく!しかし立ち止っている暇はない!アツい!ラストは『戦艦ポチョムキン』!


まあワンパターンの連続ともいえるし、映画全体の流れとしては「この人→次の人→・・・」ではどうも仕切り直し感覚になってしまいラストに向けてアガっていくというのではないというのが惜しいとこだと思います。



というわけで色々言いたいこともあります。例えば人物描写に力が入ってるとはいえ死亡フラグを立てまくるのが主でドニー・イェンがどうしてあんなに強いのかとか理解不能です。あざとさが鼻につく部分もありますし。それにやっぱり前半長いです。あとラストのあの歌いらなくね?

とはいえアクションシーンはやっぱり面白いので見る価値は十分にあると思います。というわけで見るなら劇場でどうぞ。

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