リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『カーズ2』を見た。

あの前作が嘘みたいだね。


2006年公開の『カーズ』の続編。世界的な名声を手に入れたライトニング・マックイーンがひょんなことから石油に代わるクリーンエネルギー宣伝のために開かれる世界大会に出場する事を決めるところから本作は始まる。そこで彼は世界を回る旅に親友であるメーターを連れていくのだが、ひょんなことからお互いを傷つけてしまう。メーターは傷心して故郷に帰ろうとするが、とある事件に巻き込まれスパイと勘違いされてしまうというストーリー。



高慢だったマックイーンが成長する、変わっていくという『1』とは対照的に『2』ではおせっかいでトラブルメーカーのメーターを主役とし、彼に対しに対し変わらなくていい、ありのままでいいのだという話になっており対比になっています。
それって矛盾じゃないの?と最初は思い、甘やかしではないかと感じたりもしたけどマックイーンと違ってやっぱりメーターってそれが魅力なんですよね。だからまあいいんじゃないかと。変わってしまったらそのハチャメチャだけど楽しいものが消えてしまいますもんね。と、好意的に解釈すればそうなります。一応メーターはちゃんと今回誰かの役に立ているのか、と自分の存在価値に悩んだり、彼なりに一皮むけていきます。そしてさらに友情が深まるのですね。好意的にみれば。

(↑クイーンの曲でも聞けばその気になる!)


このマックイーンとメーターの友情物語と並行して代替エネルギーというタイムリーなテーマも含まれているのだけれど、陰謀論として消化されるだけでそこに今までのように深いメッセージはないように思う。
また敵キャラクターとメーターとの間の類似性、古くなったのものの思い(へこみのエピソードも)といったような話は提示されるものの、あまり深くは掘り下げられない。こういったストーリーの深みの足りなさが今までピクサーが提供してきたものからすると残念と思うところかもしれない。



映像面では、アメリカの片田舎で展開する前作とはガラリと雰囲気変わって世界を股に掛けるスパイ映画の要素が濃厚に見られる。諜報員フィン・マックミサイルはまるでジェームズ・ボンドのようであり、イタリアのシーンでは『ボーン・シリーズ』の影響があるようだ。
スパイアクションや東京、イタリア、ロンドンで行われるレースシーンは派手で迫力はあり見ていて飽きることはない。また激しい波の表現、史上最多の登場キャラクター、街並の膨大な景観など技術的な挑戦もみられるように思う。それとちゃんとキャラクター(車)が「死んだ」という事が描かれているのが珍しいなと思った。
さらに相変わらずギャグも冴えてて、例えば東京のシーンでは日本人のトイレへの異常なこだわりをあらわしたシーンもあり大変面白かった。兵馬俑も。



というわけで、ストーリーが今までののピクサーに比べ深みがないとはいえ純粋に楽しめる映画にはなっているし、映像の迫力もあるなと僕は思いました。前作とは違い、アクションコメディだと思えばいいと思いますよ。

また同時上映される短編の『トイ・ストーリー サマーバケーション』は文句のつけようがない作品でした。面白っ!!

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