リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『モテキ』を見た。

恋が攻めてきた・・・

ドラマの続きらしいです。が、映画単体で見ても問題はないです。


ネタばれ全開です。あと初めに行っておきますが僕のこの映画大っ嫌いです。というわけで、今からけなします。



まず嫌いな点として挙げるのは、本作で流れる歌の数々です。それらは劇中の内容とリンクしてる、というか登場人物の心情を説明してくれるのだが、そんなことは言われなくても映画見てればわかる。いちいち語りすぎです。
それだけならまだ別に許せますが、わざわざ歌詞までカラオケ調のテロップで表示されると言う「親切設計」をしているんですね。くどい。
それ加えて演出でも登場人物の心情をわかりやすーく表現してくれる。例えば自分の恋心に気づくシーンでマンションの窓の光がハートになったりするんですが、やりすぎです。そこまで強調されるとほんとウザいんですよね。そんなことそこまで言われなくても十分わかりますから。演技で。



オープニングからそんな感じの過剰演出にイライラさせられますし、随所に配置されたサブカル的な感じ(?)とでもいうのでしょうか、これもあざとくて僕には単にアピールでしかないように感じた。「ほら〜なんかこういう感じ、良いでしょ〜ちょっと気が利いてるでしょ〜」というようないやらしさが見えました。というのもどれもこれも単に記号的に出てくるだけなんですよ。そんなんだから開始数分からずーっと最悪の気持ちで見てましたよ。



しかし、本作最大のイラつきポイントはそれらではない。最低最悪なのはラストだ。森山未来演じる藤本が長澤まさみ演じるみゆきに対し、嫌がっているのに強引にキスをするんですね。しかも彼氏の前で。もちろんみゆきは抵抗してますが、最終的には受け入れ二人は抱き合いハッピーエンドで終わるのです。


AVか!エロ漫画か!

「嫌!やめて!」
「ふふ、そんなに言ってるけど、体は正直だな」みたいな。


確かに、藤本がようやく自分から好きという気持ちを伝えるという事にはなっていて、物語上それで終われると思ったのかもしれないけど、だからと言ってその着地はないですよ。気持ちを本気で伝えたければキスぐらい強引にしていけという事なのでしょうか。相手が嫌がったとしても。
だいたい、この間彼氏は何してるんだよ。自分の彼女が無理やりキスされてるってんだから駆け寄って男ぶん殴るとかしないとおかしいでしょ。でもこの映画はそんなことしないんですね。それどころかその存在すら消えてしまうんですね。不思議ですね。自分勝手な世界ですね。



そのラストが嫌な理由の一つには、麻生久美子が演じたるみ子の扱いも関係している。藤本がるみ子に強引にアタックされたとき、彼は「重い」と言い拒否するんですね。気持ちを押しつけられたときに、彼は突き放しているんですよ。そしてそのあとのフォローもなし。それなのに藤本は強引に行ってOKというのが許せないんですよ。そんなことしておいてなぜあのラストにできる?
それと全体にるみ子の扱い雑じゃないですか?彼女は振られた後、意外と他にも男はいるもんだと知り、あっさり吹っ切れて豪快に牛丼食うところでエピソードが終わるんですよ。しかもわざとらしく顎のあたりに米粒つけながらさわやかな笑顔なんか見せて。なんだそれ?
一応、るみ子が新しい道を進めないままなのに、藤本とみゆきの恋が成就すると一人だけ救われないで(みゆきの彼氏は無視されてるけど)映画が終わってしまい単純に喜べないという事かもしれないが、あんな事をしておいて安っぽい救いを与えて、それでOKという方が酷いよ。



僕にはこの映画、自分の痛みには敏感なのに他人の痛みには鈍感なスコット・ピルグリムが1ミリも成長しないでラモーナとラブラブになった様な話だと思えました。『スコピル』でも彼の元カノのに対する扱いが少し寂しいなと思っていましたが、これは最悪でしたね。結局この映画の主人公は他人を傷つけたとしても反省しないんですよ。それで気持ちさえ伝えればOK、後はもう、だいたい自分にめんどくさい事は降りかからないでうまくいくというのがホントにイライラする。結局、彼は自分の世界に閉じこもっているというか、童貞男子の「こうだったらいいな」という妄想に閉じこもっているだけのように思います。こんなの意味のない幻想ですよ。



とまぁ色々書きました。最初にも言ったようにこの映画僕は大嫌いです。不快です。一刻も早く忘れるよう努力します。Perfumeは良かったです。あと長澤まさみのキスはエロいのでそれも見所です。でもどうせなら参考にしたであろう『(500)日のサマー』と『ボーイズ・オン・ザ・ラン』を見ましょう。

モテキ (1) (イブニングKC)

モテキ (1) (イブニングKC)