リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

『キャビン』を見た。

働くホラー劇場
クローバーフィールド』の脚本を手がけたドリュー・ゴダードの初監督作品です。共同脚本には『アベンジャーズ』でおなじみジョス・ウエドン。キャストには『ソー』のクリス・ヘムズワースリチャード・ジェンキンスらが集結。

森の奥にある古い小屋にやってきた5人の男女(処女、ヤリマン、スポーツマン、真面目君、愚か者)。道中出会った不気味な男の言葉に不吉さを感じながらも、湖で遊んだりと夏休みを目一杯楽しんでいた。しかし、一人が地下にある日記を見つけたことで事態は一変する・・・という『13日の金曜日』や『死霊のはらわた』のようなありがちなストーリー。しかし、その裏にはある秘密があった・・・


※一応ネタバレはほとんどしていないと思いますが、内容に触れていないわけでもないのでよろしく。


面白い!傑作!画期的!新たなるマスターピース!などと、日本公開が未定の段階から一部でとにかく盛り上がっている映画です。映画ファンとしてはそりゃあそれだけ言われていればいやでも気になる存在ですね。ただ、それと同時に「衝撃の展開!」「ネタバレ厳禁!」「前情報入れないで!」という事もしきりに叫ばれていました。いやぁ、これは難しいですよ。だってそんなことを前情報として言われたら「期待するな」という方が難しいというものですからね。否が応でも「どんな凄い映画なんだろう」とワクワクしてしまいます。そしてその分、映画を見る目も厳しくなってしまうのです。



結論から言うと、そんな前情報の上を行く面白さでした!これは凄いですね。単に『スクリーム』のような<お約束>をネタにするだけでなく、その先にまで踏み込んでいましたねー。えー、まあその先についてはあんまり言えないんですけどね。一言で言うとホラー映画を作ること、見ることについての映画になっていくのですね。



ただ、正直中盤くらいまでは若干退屈だったんですよ。それは2つ理由があってですね。まずは構造の問題ですね。
この映画は、ホラー映画の<お約束>な展開をしている世界と同時に、その物語を監視しているらしき謎の世界の物語が語られます。で、このもう一つの世界については結構映画の初めの方で分かってしまうのです。そうすると、<お約束>の世界の方で起こっていることに対しての緊張感は薄れてしまうのです。もちろん、監視している世界の方では笑えるシーンなどなどいろいろ盛り込んではあるので(個人的に最高だったのはおっぱいの下り。リチャード・ジェンキンスの真面目な顔!)、つまらないという事はありませんが。
もう一つの問題点、これが正直一番の問題点なのですが、それは予告編です。
この『キャビン』、予告編ではそのもう一つの世界の存在についてだけでなく、後半の<あるポイント>の直前まで見せちゃっているのです。<お約束>世界の緊張が薄れているのに加えてそんな予告なので、僕なんかは「それはもう知ってるから、その先を早く見せろよ!」と思ってしまいました。見せすぎの予告篇、ダメ、ゼッタイ。



しかし!そんな不満を吹っ飛ばすほど素晴らしいのがその<あるポイント>以降なのですね。具体的に言うと、エレベーターが下りてきて「チン」というところ以降です。ここは本当に最高ですね。視覚的な素晴らしさだけでなく、虐げられてきた者たちが一斉に反旗を翻すような、そんなカタルシス溢れる素晴らしいシーンになっていたと思います。『プライベート・ライアン』の冒頭のように、ソフト買ってここだけ何度も見返したいというような多幸感に溢れていましたねー。



さて、今回はなるべくネタバレなしで書こうと思ったので、これ以上書けることはありませんね。ホラー映画が好きでも好きでなくても楽しめる、というか全く怖くはないので、ホラー映画苦手という人にこそ進めたい、大変ひねりの効いた面白い映画でした。笑えるし燃えるし、おっぱいもあるし最高じゃないですか!という感じですね。あるゲストの登場にも爆笑でした。



最後に、ある文句があったのを思い出したのでそれを書いて終りにしようかと。あのですね。途中日本のホラー映画をパロディにしたような映像が出てくるのですが・・・なんだあれ!なんか違うよ!あれはなんか違うよ!あれでいいとした製作者に僕は文句を言いたい!抗議の拳をドーン!と挙げたくなる気分でしたよ!ドーン!