リンゴ爆弾でさようなら

91年生まれ。新作を中心に映画の感想を書きます。旧作の感想はよほど面白かったか、気分が向いたら書きます。

年末年始旅行記

たまには志向を変えて単なる日記というもの、2018年の師走の30日から、年明けて1日の夜までの事情の少しばかりをこのブログでも書いてみようと思う。



12月30日(日)
欠航という最悪の事態こそ免れたものの、大雪のため出発が2時間遅れるという事態に見舞われた新千歳空港発羽田行きの便を待ちながら早めの年越しそば気分で天ざるそばを食べ、ふとその日の午前中に急ごしらえで更新した「2018年新作映画ベストテン」記事を読み返していると、「小松菜奈」と書いたはずの箇所が「小松奈々」となっていることに気づき、「ファンです」などと書いているのにもかかわらずこんな初歩的なミスをしていることが恥ずかしくなったためすぐさま訂正し事なきを得る。
手荷物検査を終え、搭乗時間まで椅子に腰かけ待っていようかと思っていた矢先、レアチーズシューなる文字を見つけてしまい、基本チーズと書かれている菓子類についてはパブロフの犬のようによだれを垂らす習性をもっているため、昼食後であろうと一切の迷いなく購入。うまい。ようやく機内に乗り込み席に着くとほどなく眠気に襲われたため、アイマスクをし素直に従う。さてだいぶ寝たかなという感覚とともに目を覚ますと、なんとまだ出発すらしていないというのだから驚きであるが、ならばともう一度眠りにつく。
次に目が覚めたときにはすっかり羽田付近となっており、ようやく東京に到着。もともと2時間早く到着し余裕をもって目的地まで向かう予定だったが、天候にはかなわないということでなるべく急ぎつつグーグルマップの指示通りに動くことで奇跡的に迷うことなくカプセルホテルへ。取り急ぎ無駄な荷物だけ放り投げ渋谷へ向かい、「ヘルス」「無料案内所」などと書かれたいかがわしい店の並ぶ通りを抜けシネマヴェーラに到着し、「蓮實重彦セレクション ハリウッド映画史講義」特集で上映される『危険な場所で』と『ショックプルーフ』を無事鑑賞。後者は先日更新した下半期旧作ベストテンに入れるくらい面白かった。しかし年末だというのにこんなに客がいるとは驚きである。ここはいつも混雑しているのだろうか。
映画終わりに友人と会う約束をしていたのだが、連絡をしてみると前の飲み会が想定外に長引いているとの返答。仕方ないからとりあえずタバコを吸える店に入ろうと思い選択したのが人生2度目のバーガーキング。期間限定メニューのスノーチーズワッパーをセットで購入し喫煙席へ向かうと大学生くらいの集団がなぜかその場を占拠し騒いでおり、あてが外れたこと以上の不快感を味わうTOKYO午後10時。あきらめて通常の席で食べていると、隣の席の食事を終えたカップルがキスをし始めたのでなんとなくアイフォンの音量を大きくしてみた。スノーチーズワッパーはおいしかった。
友人からの連絡を待ちつつ渋谷のTSUTAYAへ向かい、ひそかな目的でもあったエドワード・ヤンの『恋愛時代』と『カップルズ』を探してみたところどちらもレンタル中で、いつ行っても常にレンタル中なのは運が悪いのだろうけど、本当に置いてあるのかと疑いたくもなる。店内をぶらぶらしつつ郵便返却のできないVHSをうらやましく眺めていると、友人から「今日は無理」との連絡がきたのでテンションが下がりホテルのある恵比寿へと戻る。途中、若干酒が飲みたくなったため居酒屋へ入り軽く日本酒と食事を摂るのだけれど、シメ気分で頼んだうどんがいつまでたっても出てこない。さすがに遅すぎるなと店員に確認したところすっかり忘れていたらしく、お詫びとしてサービスで刺身を出してくれた。前日に家族で寿司屋に行っており海鮮はたらふく食べていたためそんなに嬉しくはなかったけれど、ありがとう。
そんなこんなでカプセルホテルへと戻りさあ寝るぞとなったときに気付いた。微妙に小さい。そんなに身長が高いわけでもないのに足を若干曲げなければ入りきらない。しかしもうここで寝るしかないので、とりあえず今日はおやすみなさい。



12月31日(月)
今回の旅行の最大の目的について書いていなかった。Perfumeのファンクラブ会員限定カウントダウンライブに参加するためである。ということは会場となる新横浜までの移動を考えても、午前10時のチェックアウトだとかなり時間がある。さてどうしたものかと近場のカフェでまったりしていたところ、昨日結局会えなかった友人から昼飯を食いに行こうという提案を受けたのでそれに乗っかり、何が食べたい?という問いに対しては迷わずカレーとレスポンスを返す。札幌といえばスープカレーが有名ではあるが、個人的にはルーカレーが大好きでよく食べに行くということもあって、やはり人は場所が変わろうが習性は変えられないものである。というわけで適当にカフェなどで時間をつぶした後新宿へ向かい、中村屋で待ち合わせ。友人から彼女も連れて行っていいかと聞かれ、まぁその彼女も友人ではあるし、若干嫌な予感はするけれどもいいよと言ってしまったため結局三人で昼食。純印度式カリーのランチセットとクラフトビールを楽しむ。やたら肉がとりづらい骨付きチキンの入ったカレーもいいけどスープが無茶苦茶うまかったこと、店内にクリスマスの飾り付けが残ったままだったこと、時折醸し出される恋人同士らしい親密な空気に対し微妙な疎外感を味わったことなどが特に記憶に残る、いい昼食だった。
さてそろそろライブ会場へ向かおうかと友人二人に別れを告げ一人新横浜へと移動。わりとすんなり会場へたどり着き事前受付を済ませ、しかし本番まではまだだいぶ時間があるので一旦宿泊先のホテルへと向かう。ここまでは計画通りなのだが、このホテルへの道のり、そんなに遠くないなと思って予約したはいいものの実際のところなんだか面倒な乗り換えが多く、結果的についに道がわからなくなるという田舎者丸出しの事態が発生する。いったいこの、ブルーラインというやつはどこから乗ればいいのだろうか。グーグルマップでは対応しきれなくなったので駅員さんに教えてもらうことでなんとか到着。ひと眠り。
少々の休憩を終えたところでライブ参戦体制を整える。シャワーを浴び、PerfumeのファッションプロジェクトであるPerfume Closetから出ているおしゃれだけどクソ高いシャツに着替え気合十分となったところで再度会場へ向かう。今度は迷わない。
さて会場に着き座席引換券を渡すと戻ってきたのはスタンド席のチケット。なんということでしょう。北海道からはるばる来たのになんともステージから遠い席。以前ライブに参加したときはびっくりするくらいいい席だったことから今回も期待していたのだけれど、こればっかりは運だから仕方がない。そういって自分を納得させたあとは始めてくる横浜アリーナ内をとりあえずうろつき、夜飯代わりとして量のわりに高いホットドッグとビールを頂いて20時30分の客席スタンバイより少々早く席に着く。会場では紅白歌合戦が中継されており、あいみょんの「マリーゴールド」が短すぎだろうなどとと文句を垂れていると突如中継が途絶え9nineの「SHINING STAR」が鳴り響き、なんとステージにあ〜ちゃん実妹であり9nineのメンバー・ちゃあぽんこと西脇彩華が登場。予想外の出来事にテンション爆上げ。そういえばかつてPerfume FES!!にて9nineと対バンをしたとき姉妹でメンバーを交換した曲がこれだったなぁと思い返しつつ、ちゃあぽんから紅白歌合戦生中継についての説明を受ける。その後Perfumeの3人もステージに登場。あ〜ちゃんがすでに泣いている。そしてまさかのリハーサルを見た後に紅白本番。2曲凝縮の短い時間ではあるものの既に満足気味の21時30分。ライブ開始は22時30分なので微妙に時間が空いてしまうが、長蛇の列となっていたトイレに並んでいるだけでそれなりの時間に。「良いお年を」と数少ない友人にラインを送ってライブ開始。
さてライブの内容、例えばどういうセットリストだったかというようなことについて詳細を書くつもりはない。また、3人の手の動きに合わせ発光する行燈のようなサイリウムや、個人の携帯を会場内のWi-Fiに接続して行うリアルタイム参加型PTAコーナーという特別な演出についても、これ以上長々と触れる気はない。それは決してもったいぶっているからではなく、単にライブ中はステージまでの距離など関係なくなってただひたすら楽しいとか嬉しいという感情だけで占められていたため、一つ一つの事柄に対して、例えば曲についてであろうがダンスについてであろうが何であれ、書き残したところでその感動を反芻できる気がしないからである。ただ一つ言えるのは、相変わらずいいことなどほとんどなかった2018年の最後かつ平成最後のカウントダウン、平成生まれにとっては元号が変わるという初めての体験を前にした最後の大盛り上がりをこの場で過ごせてよかった。正直、あまりに幸せで泣いたね。そしてあ〜ちゃんが最後のMCで泣き笑いしながらかしゆかとのっちの肩を抱き寄せたとき、これがおそらく世間でいう「尊い」というやつなのだろうと実感した。というわけで深夜1時過ぎ、ライブ終了。超満員の電車に乗ってホテルに到着。すぐ寝る。



1月1日(火)
あけまして足が痛い。これは昨夜ライブではしゃぎすぎたからではなく、旅行のため新調した靴のサイズが微妙に合っていないからである。その証拠に、薬指の甲の部分に擦り傷ができている。しかし今更そんなことを言っても仕方がない。今日の目的は鶴岡八幡宮へ初詣をすることなのだ。というわけでカフェでコーヒーを飲んで午前11時ごろ、横浜から鎌倉まで出発。ところでこの旅行中何度もカフェへと入っているが、これはとにかくすぐまったりしたい、そしてタバコを吸いたいという怠惰で不健康な欲望ゆえであるし、北海道は関東圏ほど列車も多くないので待つのにちょうどいいという習慣もある。まぁコーヒーは好きだけれども。
八幡宮へ行く以外の予定は何も立てていなかったので、電車の中で鎌倉について調べていると興味のそそられるものを見つけたため北鎌倉で下車し、円覚寺にある小津安二郎の墓へ。「無」を確認する。境内では北海道だとまず見られない竹に目を奪われたのだが、竹林といえば報国寺が有名らしい。ちゃんと事前に調べておけばよかったと後悔する。
さてだいたい見終えたというところで寺を後にし、なぜか歩いて鎌倉まで行ってみようという気になったためとりあえず歩き始める。足が痛いと朝起きた時点から気付いていたのに何故そんなことをしてしまったのかといえば、きっと歩けば鎌倉らしい風景が見られるのではないかと期待していたからである。だがそもそも鎌倉らしい風景というものを知らないので、結果やみくもに歩いただけといって差支えない。間抜けである。ただ道を歩いていて思ったのは、断層が良く見えるというか、山に囲まれているからこその高低差が印象的ではあった。
案の定目的地に着く前に相当足が痛くなってきたため、休憩のためまたカフェに入る。コーヒーとケーキを注文し待っていると新年ということもあってくじを引かせてもらい、その景品として自家製ドレッシングが当たったのだが残念ながら自分はドレッシングを使わないので実家へのお土産とする。邪魔というと言葉が悪いから慎重に言うけど、微妙に荷物になるサイズだった。いやありがたいんですけどね。
ついに目的であった鶴岡八幡宮へ到着。ところでなぜここを目的にしたかというと、それは別に歴史的な経緯に興味があるわけでも信心深いわけでもなく、単に有名で名前を聞いたことがあるというだけの、イベント感覚での参拝のためである。しかしやはり有名というだけあって、とにかく混んでいる。まさしく人混み。どこくらい混んでいたかというと、並んでから実際に参拝するまで1時間30分はかかるくらい混んでいた。帰りの飛行機は夜8時羽田発なのだからとりあえずここは後回しにして他の観光地までいくらでも行けたろうに、従順に並んで待っていたのだから時間の使い方が下手としか言いようがない。しかも参拝し終えた後は人にうんざりしておみくじを買うための列に並ぶ気も起きなかったし、もちろん小町通も混んでいたため、特にどこにも寄りはせず鎌倉スイーツを楽しむこともなく時間だけかけてゆっくりと鎌倉駅へ。だがしかし、このままだとなんだかさすがにもったいない気がしたので、少しばかりネットで検索をして遅めの昼食にちょうどいい店を調べてみると良さそうな場所が何件か見つかったので再度小町通へ向かってみるものの、混んでいるか閉店しているかのどちらか。結局これ以上探すのも嫌になって、営業していた蕎麦屋へ入店。ここでまた断っておきたいのが、1日置いてまたそばだからと言ってそば好きというわけではない。そもそもそばの味の違いなどはよくわからないくらいのバカ舌で、好きなのは天ぷらなのである。というわけでシラスのかき揚げが入った天ざるそばを注文。おいしい。そしてまた混雑した小町通や鳩サブレーの本店、キネマ堂などを通り過ぎ、鎌倉駅から横浜、そして羽田空港へ。ひたすら疲れた鎌倉観光だけれども、それはそれで面白かった。電車内ではほぼ寝ていた。
さて出発時刻よりだいぶ早めに羽田へついてしまったのでゆっくりとお土産を見て回る、としたいところだけれどもすでに書いたようにとにかく疲れがたまっていたので、足の痛みと眠気にうんざりしながらとりあえずお土産購入。そしてやっぱりカフェに入って大しておいしくないコーヒーを飲みながらぼーっとする。しばらくしてガラガラに空いた飛行機に乗りながら考えたのは、疲れはしたけども2019年、このあとにこれ以上楽しいことなど起こりえるのだろうかということであり、年初めからクライマックスを迎えたのではという危惧はあるけれども、そう思えたのだからいい旅行だったのは間違いないのだろう。というところでこの日記は終わる。